【広島】新加入の工藤壮人に、P・ウタカの代役は務まるのか?

カテゴリ:Jリーグ

中野和也

2017年01月29日

「奪われたら奪い返す」サッカーのキーマンとして期待されているのが工藤である。

 工藤が「ウタカになる」必要はない。広島は今季、リトリートしてブロックを作る守備に加え、アグレッシブにボールを奪うやり方にもチャレンジする。特に森保一監督がキャンプから強い言葉で意識付けしている素早い切り替えからの「奪われたら奪い返す」サッカーのキーマンとして期待されているのが、質の高いランニングと戦術理解能力、そして守備意識も高い工藤である。
 
「ウタカ頼み」と批判も受けた昨年の広島だが、特に攻撃は最後の部分で個人の質が物を言う。それがサッカーの本質である。2012年の初優勝は佐藤寿人が見せた抜群のゴール奪取能力に頼っていたし、2015年はドウグラス(アル・アイン)と浅野拓磨(シュツットガルト)の個人能力が際立っていた。
 
今季も「得点を決める」というところでは工藤やフェリペ・シウバ、柴﨑晃誠らの才能に頼るしかない。だがチャンスを創る過程においては、オフ・ザ・ボールの動きを絡めたコンビネーションを広島は取り戻したい。その方向性に、工藤はうってつけのスタイル。鹿屋体育大との練習試合ではダイナゴナルの走りによって他の選手たちの決定的シュートを量産したことがその証明だ。
 
「広島の選手たちは、止める・蹴るの基礎技術が高い」と語る工藤は、練習後に必ずグラウンドの壁に向かってボールを蹴り、基本技術を少しでも高めようと努力を続ける。広島を貫く「主体的にボールを動かす」コンセプトに対応する必要を感じているから。森保監督が「戦術的にもまだ吸収段階。肉体的なコンディションがあがってくるにつれ、もっと良くなる」と期待を掛けるのも、自分の個性をチームに生かそうという工藤の努力を見つめているからこそ、だ。
 
P・ウタカは稀代のタレントではあるが、工藤壮人もJ1でふた桁得点を4度も記録している際立ったストライカー。2017年の広島は、決意を込めて規程上最大番号である50番を背負った勇士が、昨年とは違った形で牽引する。ピーター・ウタカはピーター・ウタカ、工藤壮人は工藤壮人である。
 
取材・文:中野和也(紫熊倶楽部)
 
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