誤審で「陰謀説」を唱えるピケ、低調バルサにいらぬ喧騒を…

カテゴリ:メガクラブ

工藤拓

2017年01月12日

3試合で流れの中から奪ったゴールはわずか1つ。

年明けの3試合でバルサが奪ったゴールは計5つ。そのうつ3点がメッシのFKと、攻撃陣の機能性が高いとは言えない。(C)Getty Images

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 またA・ビルバオ戦の前日に行われたレアル・マドリー対セビージャ戦では、マドリーに疑惑のPKが与えられている。こうした誤審がわずか数日のうちに立て続けに起こったのだから、ピケが「審判はマドリーの味方であり、バルサを陥れている」と考えたくなる気持ちも理解できる。
 
 実際、カタルーニャではフランシスコ・フランコ将軍のスペイン統治時代(1939~1975年)から変わらず、今も「組織ぐるみのマドリー贔屓が存在している」と多くの人々が本気で信じているくらいだ。
 
 しかし、いくら誤審を指摘したところで、判定や試合結果が覆される可能性はゼロに近い。そもそもクラブやルイス・エンリケ監督が不満を飲み込み、「ジャッジは極めて困難な仕事。周りがレフェリーをサポートする必要がある」といった発言に徹している中、なぜピケだけはいちファンさながらに自由な発言を繰り返すのか。
 
 これは厳しい規律でチームを縛りつけていたジョゼップ・グアルディオラ(2008~2012年に指揮)が退任して以来、クラブ内に選手たちをしっかりコントロールできる人間がいなくなったことを端的に物語っている。
 
 カルレス・プジョール(2014年5月に引退)、シャビ(2015年5月にアル・サッドへ移籍)らが目を光らせていた頃は、まだよかった。しかし、物静かなアンドレス・イニエスタがキャプテンを務める現在は、2月で三十路を迎えるなど若手の手本となるべき立場にあるピケが、いらぬ問題を起こしているのだから困ったものである。
 
 とはいえ、今のバルサに過去の誤審やピッチ外の問題こだわっている暇はない。2試合続けてリオネル・メッシの直接FK以外にゴールを決められなかったことこそ、現チームが焦点を当てるべき部分だ。
 
 1月11日のコパ・デル・レイのリターンマッチは、A・ビルバオから3ゴールを奪って勝利し、2試合合計4-3で準々決勝進出を決めた。しかしそれとて、流れの中から奪ったゴールは、ルイス・スアレスの先制点だけだった。残る2つはネイマールのPK、メッシのFKだ。
 
 ピケの大人げない発言に振り回されている余裕など、いまのバルサにはない。
 
文:工藤拓
 
【著者プロフィール】
1980年、東京都生まれ。桐光学園高、早稲田大学文学部卒。三浦知良に憧れて幼稚園からボールを蹴りはじめ、TVで欧州サッカー観戦三昧の日々を送った大学時代からフットボールライターを志す。その後EURO2004、W杯ドイツ大会の現地観戦を経て、2006年よりバルセロナへ移住。現在は様々な媒体で執筆している。
 
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