15歳の逸材・久保建英は年代別代表を掛け持ちすべきなのか?

カテゴリ:日本代表

川端暁彦

2016年12月23日

ふたつの世界大会の出場はスケジュール的には可能だが議論の的になるかもしれない

協会は久保の飛び級招集に前向きだ。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

 当然ながら、こうした施策の先には2020年の東京五輪がある。過去の五輪を鑑みても「5~6世代が融合したチームになる」(木村ダイレクター)ため、4年後を見据えて世代間の壁を取っ払う必要がある。内山監督が「マイナスから入るなら、(久保招集は)ない話」と語るのはこうした観点からだ。現時点の久保を評価すればU― 19代表で戦うために足りないモノは多い。ただ、先を考えると「あり」という判断だ。

 こうなると、「各年代の代表チームの監督が選手を取り合うのが一番まずい」(木村ダイレクター)わけだが、「公式の国際大会は別に検討するが、基本的には上の世代に招集の優先権がある」(同)ことも確認済み。よって、久保はもちろん、来年立ち上がるU―18代表世代の中村や若原らも、内山監督が望むのであれば、U―20代表での活動が優先されることになる。
 
 過去に森本がU―16代表からU―19代表に〝昇格〞したケースにおいては、森本は後者を優先した。結果として、エースを失ったU―16代表がアジア予選で敗退したため、今回 のように世界大会がバッティングする事態にはならなかった。つまり、基本的に上の世代優先というのは、当時から続く判断と言える。
 
 問題をややこしくしているのは、U―20W杯が5月にあり、U―17W杯が10月にあること。久保以外にも平川怜(FC東京U―18)や瀬古歩夢(C大阪U―18)も飛び級候補に挙がっているそうだが、仮に彼らがU―20W杯に出場した場合、さらにU―17W杯に出ることを是とするのか。スケジュール上の問題はないとはいえ過去に例はなく、議論の的となるかもしれない。
 
 年代別代表が〝横割り〞になってしまっている弊害は、かねてから指摘されてきた。監督ごとに丸投げされるため戦術に統一感がなく、相互の連絡や連係の意識も希薄だった。霜田正浩強化部会長を中心に体制の改善が進むなかで、積極的な飛び級起用という方向性は見えてきた。
 
 ただし、それが選手への過負荷につながっては本末転倒だ。来年のケースで言えば、U―20W杯に呼ぶ予定ならば、少なくとも世界大会が終わるまではそちらの活動に専念させ るべきだろう。複数の代表を掛け持ちさせるのは、久保のような若い選手にとって負担が大き過ぎる。
【関連記事】
久保建英がブラジルの強豪相手に2ゴール。チームはパワーに押し込まれ5失点で敗れる
カズ&ゴンの久保建英・評。「人を惹きつけるスター性がある」、「周りに影響を与えられる選手になってほしい」
【セルジオ越後】「レアルに善戦」で満足しちゃいけない。鹿島に与えられた宿題は、来季のACL優勝だ
【日本代表秘話】森重真人の転機は2010年。「僕はあの年を境に大人のフットボーラーになっていった」
【選手権】編集部が選ぶブレイク必至の必見タレント30~MF編

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ