【日本代表】小林祐希の原点<2> 天才少年の心に響いたヴェルディの本物志向と殺気立つほどの…

カテゴリ:日本代表

加部 究

2016年11月10日

「トレーニングは本気で削り合いをするぐらい殺気立っていました」(中村忠)

東京Vジュニアユース時代は、日本クラブユース選手権(U-15)、高円宮杯全日本ユースでともに準優勝。後列左から3番目が小林。前列右から2番目に高木(現東京V)。写真:小柳圭二

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 感受性が強く、賢明でこだわりを持つ祐希は、東京Vのスタイリッシュな本物志向に魅き寄せられたに違いない。東京Vに進み、「親は本当に楽になりましたよ」と拓也は吐露する。
 
「鼻っ柱が強くて、自分がプロになるとか、目の前の試合に勝つこと以外は眼中にないような子でした。だから周りに少しでも気の抜けた緩いプレーをする子がいると、そのまま言葉にして、怒鳴り飛ばしてしまう。 祐希が、この子にこんなことを言った、という話が次々に僕の耳にも入ってくるので、そのたびに謝りに行きました」
 
 しかし、東京Vの保護者たちはまったく違った。拓也が過去の祐希の経緯を話すと、一様にこんな反応が返ってきた。
 
「ここではみんながプロを目指してやるんです。そのくらいのことは言ってもらって構いません。逆にそんなことでシュンとしているようでは、厳しい世界で戦えない」
 
 実際彼らが中学2年時から指導に当たった中村忠(現FC東京コーチ兼U-23監督)は、個々の技術水準とプロを目指す意識の高さに驚いた。
「トレーニングから本気で削り合いをするぐらい殺気立っていました。きつい言い方をする選手は、伝統的にどの代にもいましたからね。見方を変えれば、彼らはしっかりと喋れるタイプでもあるわけです。祐希は、高木善朗やキローラン木鈴らと並んで、きつく言葉を発する中のひとり。その程度ですよ。中島翔哉なんか、もっと言っていましたからね」
 
 一方でコーチの冨樫剛一(現東京V監督)は、こんな語りかけを繰り返した。
 
「日本語は面白いぞ。同じことを伝えたつもりでも、話し方次第で相手の受け取り方が違ってくる。大切なのは、伝えられた側が次にどんなプレーをするか、だからな」
 
 チーム内には先へ進もうという意欲が横溢していた。冨樫が続ける。
「トレーニングの途中で給水をしても、みんなダッシュで戻って来て『次は何をやるんですか』と聞いてくる。こちらはトップチーム入りから逆算して、今何をしておくべきかを考えてメニューを構築していくんですが、彼らは我々が設定した枠をどんどん広げていくんです。コーチ、ここはこうしていいですか? ここまでチャレンジしてもいいですか? と、そんな質問が途切れない。逆に僕らのほうが、彼らの発想を引き離せるように努力をしなければいけないと考えさせられました」
 
 チームはナイキ・プレミアカップで全国制覇を果たし、2年時には世界大会に出場した。ところが祐希は、この頃10番を剥奪され、苦悩の日々を送っていた。
 
「腰の剥離骨折をして離脱。また半年くらいの間に身長が急激に伸びたので、その感覚を掴むまで数か月間はかかったようです」(父・拓也)
 
取材・文:加部 究(スポーツライター)
 
<3>に続く――

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