【磐田】レジェンドが漏らす「生きてて良かった」。名波浩監督の並々ならぬ覚悟と決断力

カテゴリ:Jリーグ

古田土恵介(サッカーダイジェスト)

2016年11月03日

「『おめでとう』と言われるのもどうかと思う」

名波監督はサポーターへの感謝を口にすると同時に、「彼らのためにという気持ちは選手たちも強い。三位一体になれたからこそ残留できた」と話す。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 そうは言っても、終わり良ければすべて良しとしては、大切なものを見失う可能性が高い。何ができたのか。何ができなかったのか。頭脳明晰な指揮官は、そこもきちんと理解している。
 
「43ポイントの仙台がブーイングを浴びて、36ポイントの我々が拍手喝采という立場自体を個人的にはおかしなことだと思う(仙台は12位、磐田は13位で今季リーグ戦を終えた)。この監督会見の場で『おめでとう』と言われるのもどうかと思う。
 
 もちろん、シーズンをとおしていろんなことがあった。怪我人、規律違反、小林(祐希)の移籍……。ただ、結婚したり、出産したりというプラスアルファもあった。
 
 常に選手の一挙手一投足を見逃さずにいたいと考えていたし、戦術論とか技術論を語る前に、まずチームをしっかりと組み立てること。選手を成長させることに重点を置いてチーム作りをしてきた」
 
 今季はJ2で2位という立場からのスタート、つまりは20位のクラブとしてのスタートだった。全チームに対してチャレンジャーでいようと始まっている。そんななかで、1年でJ2に逆戻りしないという重大なミッションはこなした。しかも「チームをぶっ壊しながら、改革しながら」という状況で。

 13位という位置からスタートする来季に狙うは、その上だ。「トップ5から下は、5位なのか12位なのか分からない状況のリーグ。どれだけ高い位置に食い込めるか」を課題に取り組んでいく。
 
「髪の毛が抜けようが、白髪が増えようが、お腹が出てこようが、睡眠が取れなかろうが、何があっても逃げ出さないと覚悟していた。そういう意味で、男として最低限のことはできた。来季はハードルが上がるので、それ以上の強い気持ちでやりたい。
 
 苦しいなかでも応援してくれて、サポーターの存在は本当にありがたかった。まだまだ未熟な新米監督にもかかわらず、いろいろと言いたいこともあるだろうに、メンバー発表の最後にはいつもチャントを歌ってくれて、感謝しかない。
 
 彼らのためにという気持ちは選手たちも強い。プレーヤー、フロント、サポーターが三位一体になれたからこそ残留できたと思っている」
 
 天才と呼ばれたレフティは、スーツを着こなし、ネクタイを締めて、磐田に戻ってきた。そしてJ1昇格、J1残留を成し遂げた。しかし、「圧倒的に反省点のほうが多い」と立ち止まる気配はない。
 
 いや、11月3日だけは立ち止まるつもりだ。当の本人は「今日はゆっくりします」と宣言した。「明日、明後日以降にひとつずつ精査していきたい」。戦士たちは束の間の休息に入り、サポーターの後押しを受けて、すぐに走り出す。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)

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