ドイツW杯で日本を敗北に追いやったあの名手も「あんな日本を見たことがない」。
豪州最大のフットボールサイトで準国営放送SBS運営の「the World Game」には、多くの日豪戦関連記事が挙げられているが、日本メインで書かれたものは現時点では見当たらない。試合直後に上がったサム・キャロル記者の速報記事では、「日本のMF原口元気が、開始早々の5分で先制。本田圭佑の素晴らしいタイミングで出されたパスを受け、ペナルティボックスのほんの少し前で、飛び出てきたGKマット・ライアンの横を抜く美しいゴールを決めて見せた」との描写で日本の得点経過を解説している。
その他に固有名詞が上がったのは、豪州のPKを伝える場面での西川周作と「浅野拓磨が、原口のクロスにはわずかに及ばなかったことで、ライアンがなんとか試合をドローで終えることができた」との記述だけで、その他の選手への言及は無かった。
そのSBSのチーフ・フットボール・ライターであるフィリップ・マカリフのレビュー記事では、「日本は、早い時間帯での得点の後に引いて守り、サッカルーズにより多くのポゼッションを取らせるようにプレーした」との記述が見られる。
また、彼の書いたFWトミ・ユリッチ(ルツェルン)のコメント記事にも「日本は、最近の試合で良い結果が出ていないこともあって、早い先取点の後ですぐに引いて守ってきた」とのユリッチのコメントが引用されており、ベテラン記者の目には、日本が守りに入ったとの印象が強く残ったようだ。
一方、国内外の多くのサッカー中継を行なうFOX SPORTSのウェブ版では、日本をほぼ単独で取り上げた記事を見つけることができた。「豪州に衝撃を与えた日本の戦術」と見出しが打たれた記事では、06年ドイツ・ワールドカップの“カイザースラウテルンの惨劇”で3点目のダメ押し点を決めた伝説の名手で、現在はAリーグのブリスベン・ロアの監督を務めるジョン・アロイージが試合の印象を語った。
「日本があんなに引いて守って相手にポゼッションを与えるのを見たことがない。ショックだった。日本の選手が望んだことなのかは分からないが、そのスタイルをうまくやったうえで、ちょっとしたカウンターアタックも繰り出してきた。今までの日本はポゼッションでゲームを支配するスタイルだったが、それでも我々は互角以上にやってきた。その頃の我々のスタイルはロングボールを多用して、ゴールに迫るものだったが、豪州のサッカーも進化して、今回はこちらのポゼッションが上回った」と、個々のスタイルの変化を自らの経験も交え、その驚きを感慨深げに語っていた。
「引いて相手にポゼッションさせる」日本の戦いぶりが、豪州メディアに「今までの日本とは違う」という印象を強く残したことが、これらの記事などからも容易に感じ取れる。今回の日本の戦いぶりは、豪州メディアの日本のイメージを大きく変えてしまうものだったかもしれない。
取材・文:植松久隆(フリーライター)
その他に固有名詞が上がったのは、豪州のPKを伝える場面での西川周作と「浅野拓磨が、原口のクロスにはわずかに及ばなかったことで、ライアンがなんとか試合をドローで終えることができた」との記述だけで、その他の選手への言及は無かった。
そのSBSのチーフ・フットボール・ライターであるフィリップ・マカリフのレビュー記事では、「日本は、早い時間帯での得点の後に引いて守り、サッカルーズにより多くのポゼッションを取らせるようにプレーした」との記述が見られる。
また、彼の書いたFWトミ・ユリッチ(ルツェルン)のコメント記事にも「日本は、最近の試合で良い結果が出ていないこともあって、早い先取点の後ですぐに引いて守ってきた」とのユリッチのコメントが引用されており、ベテラン記者の目には、日本が守りに入ったとの印象が強く残ったようだ。
一方、国内外の多くのサッカー中継を行なうFOX SPORTSのウェブ版では、日本をほぼ単独で取り上げた記事を見つけることができた。「豪州に衝撃を与えた日本の戦術」と見出しが打たれた記事では、06年ドイツ・ワールドカップの“カイザースラウテルンの惨劇”で3点目のダメ押し点を決めた伝説の名手で、現在はAリーグのブリスベン・ロアの監督を務めるジョン・アロイージが試合の印象を語った。
「日本があんなに引いて守って相手にポゼッションを与えるのを見たことがない。ショックだった。日本の選手が望んだことなのかは分からないが、そのスタイルをうまくやったうえで、ちょっとしたカウンターアタックも繰り出してきた。今までの日本はポゼッションでゲームを支配するスタイルだったが、それでも我々は互角以上にやってきた。その頃の我々のスタイルはロングボールを多用して、ゴールに迫るものだったが、豪州のサッカーも進化して、今回はこちらのポゼッションが上回った」と、個々のスタイルの変化を自らの経験も交え、その驚きを感慨深げに語っていた。
「引いて相手にポゼッションさせる」日本の戦いぶりが、豪州メディアに「今までの日本とは違う」という印象を強く残したことが、これらの記事などからも容易に感じ取れる。今回の日本の戦いぶりは、豪州メディアの日本のイメージを大きく変えてしまうものだったかもしれない。
取材・文:植松久隆(フリーライター)