原口の台頭で”逆に”高まる本田の価値。2列目の生存競争は、よりデリケートな局面に

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2016年10月07日

原口の台頭でサイド攻撃の優先度が上がる。つまり、本田の空中戦は、やはり重要ということだ。

原口のクロスに本田がヘッドで合わせた80分の決定機は、ふたりの特長が融合したシーンだった。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 原口の台頭も、本田にとっては追い風だ。左サイドに広がって仕掛ける原口がウイングに定着すれば、そのクロスに合わせる逆サイドで、本田の空中戦が生きてくる。80分に原口のクロスからポストを叩いたヘディングシュートが、その典型だ。
 
 ある意味、原口も本田とは違う意味で、日本人らしくない選手だろう。短い距離でのパスワーク、スペースのやり取りは得意ではなく、長駆のハードワークと、ドリブル突破力、球際の強さを併せ持つ。
 
 もし、清武と香川真司の2人ともが調子を上げていれば、6月のブルガリア戦のように清武、香川、小林の並びが、いちばん日本らしい速いコンビネーションで中央突破を見せられそうだが、原口が台頭したことで、サイド攻撃のほうが優先度は上がる。つまり、本田の空中戦は、やはり重要ということだ。
 
 仮にイラク戦が、中央に集まって攻撃したUAE戦からのマイナーチェンジで望むとしたら、本田にとってはポジションが危うかったのではないか。UAE戦のように短いパスワークを求めるなら、小林を右ウイングに入れる選択肢はあったはず。小林の裏へ飛び出す動きは、清武や香川にスペースを与えてくれる。
 
 しかし、原口の台頭が、それを打ち消した。本田には最初に挙げたセットプレーの守備貢献もある。この汎用性。本田は一度チームにはまると、なかなか外すのが難しい。
 
 外せない選手を、外せるようになった時、チームはひとつ上の段階へ進むことができる。しかし、一芸タイプの香川とは違い、汎用性の高い本田を、おいそれと外すことはできない。今後もデリケートな競争になりそうだ。
 
文:清水英斗(サッカーライター)
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