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【川口能活クロニクル】予選の重圧に泣きながらプレーしたアウェー戦|フランスW杯最終予選 vsウズベキスタン戦

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年10月06日

同点ゴールが生まれて案に喜んだことはなかった。

フランス・ワールドカップ時の日本代表メンバー。若き司令塔の中田英をはじめ、懐かしい面々が並ぶ。現在もJのピッチでプレーするのは川口ただひとりだ。(C) Getty Images

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■気づいたら泣きながらプレーしていた
 
 岡田監督初采配となったウズベキスタン戦。自力での2位確保のためには全勝が条件となる後半の初戦で、日本は3−5−2のシステムで臨みました。
 
 2トップはカズさんと(城)彰二でしたが、累積警告で出場停止となった小村(徳男)さんの代役には斉藤(俊秀)さんが務めました。トップ下にはヒデ(中田英寿)に代えて、ウズベキスタンの弱点とされていた最終ラインをかき回したいという狙いから、スピードのある森島(寛晃)さんが入りました。
 
 ウズベキスタンは、1か月前に6対3で勝利したとき、それほど怖さを感じなかったのですが、2度目の対戦となったこの日のチームには違っていました。とりわけ、トップ下に入ったカシモフの存在は日本にとって厄介でした。ペースこそ日本が握っていましたが、25分にシャツィフへのスルーパスで決定機を作られるなど、カシモフの頭脳的なゲームメイク力と鋭いスルーパスに、僕たちは苦しみました。
 
 そして31分。日本のリズムが途切れたところで、右CKからカムバラリエフにミドルシュートを決められてしまったのです。防ぎようのない強烈なシュートでしたが、この日は絶対に1点も取られたくないと思っていたので、まさに痛恨の失点でした。
 
 日本は1点をリードされたまま、後半を迎えました。日本は今予選で初めて先制ゴールを許したわけですから、日本にはさらに見えない圧力がのしかかっていました。まだ22歳で若かったこともありますが、日本のゴールマウスを託されていた僕の精神状態も、もはやギリギリの状況でした。
 
 そして今だから言えることなのですが、この試合で、僕は泣きながらプレーしていたのです。ゴールキーパーになって試合中に泣いてプレーするなんて、後にも先にもこの試合だけですが、それくらい言葉では説明できないほどの凄まじいプレッシャーを感じていました。
 
■呂比須のゴールで九死に一生を得る
 
 54分。日本はヒデと呂比須(ワグナー)を同時投入し、3バックから攻撃的な4−3−3にシステム変更しました。攻めるぞという合図でした。もしウズベキスタンにリードを許したら、4バックに切り替えて攻撃的に行くことは、この1週間の練習で確認済みでした。
 
 その後は、攻撃陣が必死になって攻めてはウズベキスタンのカウンターを受ける、といった試合展開でした。日本はミスもあったものの、前へ前へと攻めていきました。カウンターからピンチを迎えることもありましたが、そのたび、僕は井原さんに助けてもらいながら、必死に対応しました。追いつかなければいけない。でも失点してはいけない。ハイプレッシャーのなか、待ちに待った瞬間がついに訪れたのです。
 
 時計の針は45分を指そうとしていました。最終ラインの井原さんがロングフィードを送り、前線の呂比須がヘッドで落とした。そして、呂比須の落としたボールにいち早く反応したのはカズさんでした。
 
 そこで、カズさんの動きに相手ゴールキーパーがつられたのですが、おそらくカズさんがボールに触ると思ったのでしょう。判断に迷いが生まれて、結局、ボールに触れることができずにゴールインしたのです。その瞬間、まさに九死に一生を得たような気持ちになりました。ウズベキスタンのサポーターが静まり返るなか、僕は涙をこらえながらガッツポーズしたのを覚えています。同点ゴールが生まれて、あんなに喜んだことはありませんでしたから。
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