ともに歴史の分岐点で対峙することとなった特別な相手――。
ここまで、五輪、W杯での対決を振り返ってきたが、この魅力的なカードが最も多く実現したのは、欧州王者を決めるコンペティションだった。
最初は80年で、本大会出場枠が8か国に増えた同大会でホストカントリーを務めたイタリアは、グループステージでベルギー、イングランドとともに、スペインとも対戦。スペインは2年後のW杯の開催国であり、ともに威信を示したい大会だった。
しかし、結果はスコアレスドロー。3試合を終えた後、スペインは最下位に沈み、イタリアはベルギーに首位を奪われ、3位決定戦に臨むこととなった(チェコスロバキアにPK戦で敗れて4位)。
8年後の西ドイツ(当時)大会でも、グループステージでイタリアとスペインは顔を合わせた。ともに世代交代の時期を迎えていたが、ここではイタリアの勢いが上回り、ジャンルカ・ヴィアッリの点取り屋らしいゴールが、両者の明暗を分けた。
スペインは1勝2敗の3位で脱落。一方、2勝1分けで西ドイツに次ぐ2位でグループ突破を果たしたイタリアは、準決勝でソ連の猛烈なプレッシングサッカーに屈したものの、2年後の自国開催のW杯に向け、手応えを得ることができた。
EUROは2008年、オーストリアとスイスの共催で行なわれた。この時、イタリアは世界王者。一方、スペインはここまでのメジャーイベントで、予選では強さを発揮し、大会前は「無敵艦隊」と呼ばれて優勝候補に挙げられるも、毎回期待を裏切ってきた。
実績で大きな差ができていた両国が対決したのは準々決勝。試合内容ではスペインのパスサッカーがイタリアを押し込むも、ゴールネットは揺らせずじまい。決着がPK戦に持ち込まれた際には、結局はイタリアが制するだろう? と多くの者が予想していた。
しかし、スペインはプレッシャーに耐え抜き、4人が成功。2人が失敗したイタリアを抑えて、ついに準決勝へ駒を進めた。そしてその後、スペインは準決勝でロシア、決勝でドイツを下し、44年ぶりにビッグタイトルを手にしたのである。
産みの苦しみを乗り越えたスペインは、そこから黄金時代を迎え、4年後の南アフリカW杯でも優勝を果たす。対してイタリアは徐々に下降線を辿り、南アフリカではグループステージ敗退という失態を演じた。
完全に立場が逆転して迎えた2012年大会。まずはグループステージの初戦で両者は対峙し、1-1のドロー。内容的には、スペインを研究したイタリアに、よりポジティブな印象が感じられる一戦だった。
しかし、決勝で再び実現したこのカードでは、スペインが王者の強さを存分に発揮。ダビド・シルバ、ジョルディ・アルバが前半でゴールを挙げると、イタリアは怪我人続出で数的不利まで強いられ、終わってみれば4-0のワンサイドゲームでスペインが王座防衛を果たした。
そして記憶に新しい、今夏のフランス大会。史上最弱といわれながらも、グループステージを好内容のサッカーで首位通過したイタリアと、最終戦を落として2位で決勝トーナメントに駒を進めたスペインの対決は、それまでの歩みが試合内容にそのまま表われた。
主導権を握ったイタリアは33分、FKからジョルジョ・キエッリーニが詰めて先制すると、反撃を見せたスペインを最後まで封じ切り、終了間際、速攻からグラツィアーノ・ペッレがダメ押しゴールを決めるという会心の勝利で雪辱を果たした。
スペインにとってイタリアは、08年にその関門を越えたことにより世界一への道が拓けたという意味で、特別な存在だと言える。一方、イタリアにとって今夏のリベンジが、長く続いた暗黒の時代の幕を引くきっかけとなったのだろうか。
ともに、歴史の分岐点でぶつかり、それぞれの戦いの歴史を彩ってきた好敵手であるスペインとイタリア。その対峙はこの先も、激闘の歴史を創り出していくこととなる。
最初は80年で、本大会出場枠が8か国に増えた同大会でホストカントリーを務めたイタリアは、グループステージでベルギー、イングランドとともに、スペインとも対戦。スペインは2年後のW杯の開催国であり、ともに威信を示したい大会だった。
しかし、結果はスコアレスドロー。3試合を終えた後、スペインは最下位に沈み、イタリアはベルギーに首位を奪われ、3位決定戦に臨むこととなった(チェコスロバキアにPK戦で敗れて4位)。
8年後の西ドイツ(当時)大会でも、グループステージでイタリアとスペインは顔を合わせた。ともに世代交代の時期を迎えていたが、ここではイタリアの勢いが上回り、ジャンルカ・ヴィアッリの点取り屋らしいゴールが、両者の明暗を分けた。
スペインは1勝2敗の3位で脱落。一方、2勝1分けで西ドイツに次ぐ2位でグループ突破を果たしたイタリアは、準決勝でソ連の猛烈なプレッシングサッカーに屈したものの、2年後の自国開催のW杯に向け、手応えを得ることができた。
EUROは2008年、オーストリアとスイスの共催で行なわれた。この時、イタリアは世界王者。一方、スペインはここまでのメジャーイベントで、予選では強さを発揮し、大会前は「無敵艦隊」と呼ばれて優勝候補に挙げられるも、毎回期待を裏切ってきた。
実績で大きな差ができていた両国が対決したのは準々決勝。試合内容ではスペインのパスサッカーがイタリアを押し込むも、ゴールネットは揺らせずじまい。決着がPK戦に持ち込まれた際には、結局はイタリアが制するだろう? と多くの者が予想していた。
しかし、スペインはプレッシャーに耐え抜き、4人が成功。2人が失敗したイタリアを抑えて、ついに準決勝へ駒を進めた。そしてその後、スペインは準決勝でロシア、決勝でドイツを下し、44年ぶりにビッグタイトルを手にしたのである。
産みの苦しみを乗り越えたスペインは、そこから黄金時代を迎え、4年後の南アフリカW杯でも優勝を果たす。対してイタリアは徐々に下降線を辿り、南アフリカではグループステージ敗退という失態を演じた。
完全に立場が逆転して迎えた2012年大会。まずはグループステージの初戦で両者は対峙し、1-1のドロー。内容的には、スペインを研究したイタリアに、よりポジティブな印象が感じられる一戦だった。
しかし、決勝で再び実現したこのカードでは、スペインが王者の強さを存分に発揮。ダビド・シルバ、ジョルディ・アルバが前半でゴールを挙げると、イタリアは怪我人続出で数的不利まで強いられ、終わってみれば4-0のワンサイドゲームでスペインが王座防衛を果たした。
そして記憶に新しい、今夏のフランス大会。史上最弱といわれながらも、グループステージを好内容のサッカーで首位通過したイタリアと、最終戦を落として2位で決勝トーナメントに駒を進めたスペインの対決は、それまでの歩みが試合内容にそのまま表われた。
主導権を握ったイタリアは33分、FKからジョルジョ・キエッリーニが詰めて先制すると、反撃を見せたスペインを最後まで封じ切り、終了間際、速攻からグラツィアーノ・ペッレがダメ押しゴールを決めるという会心の勝利で雪辱を果たした。
スペインにとってイタリアは、08年にその関門を越えたことにより世界一への道が拓けたという意味で、特別な存在だと言える。一方、イタリアにとって今夏のリベンジが、長く続いた暗黒の時代の幕を引くきっかけとなったのだろうか。
ともに、歴史の分岐点でぶつかり、それぞれの戦いの歴史を彩ってきた好敵手であるスペインとイタリア。その対峙はこの先も、激闘の歴史を創り出していくこととなる。