主人公と同じようなキャリアに夫婦でびっくり。

佐藤勇人(さとう・ゆうと)/1982年3月12日生まれ、埼玉県出身。春日部大増サンライズ―市原Jrユース―市原ユース―市原/千葉―京都―千葉。チームの頼れる兄貴分。ファイトあふれるプレーは、サポーターからの信頼も篤い。昨季、Jリーグ400試合出場を達成した、レジェンドだ。
――今作で印象的なシーンはありましたか?
佐藤 (主人公が)古巣に戻ってきて、初めてチームメイトと会う時、みんなが「戻ってくるらしいよ」とざわついている感じ。あのシーンは自分と重なりますね。
綱本 実際にそんな感じだったんですか?
佐藤 みんながどう思っていたのか分からないですが、2年間、自分がいなくて、すごく大変な想いをしてギリギリで残留して、次のシーズンに落ちてしまった。その悔しさがある中で、自分はJ2降格を経験していなくて、強かった頃を知って帰って来たので、どういう風に見られているんだろうと不安はありました。メディアの方にも結構注目されたので。全員がウエルカムではないだろうなと、それはサポーターの方も含めて。どう認めてもらうか、すごく考えました。
――佐藤選手はその際、どうやってチームに馴染んだんですか?
佐藤 言い方が悪いですけど、当時いたメンバーより俺はこのクラブで結果を残してきたという自信があったので、それを糧にしました。もちろん移籍してしまった事実はありましたが、そういう自信を無理にでも持って、何を言われても負けないという想いでいました。
綱本 本当に偶然、主人公と同じ境遇ですが、僕らサポーターは勇人選手が帰って来た時は、よくぞ帰ってきてくれましたという気持ちでした。(主人公の)河野は落ちぶれて帰ってきましたが、勇人選手はどちらかというと危機を救うために戻って来てくれたというイメージなので。古巣への帰り方は違ったのかなと。ただ、漫画と似るというこんな偶然もなかなかないですよね。
佐藤 そうですね嫁がビックリするくらいですからね。嫁は原作を見たことがなくて、映画を僕が見ていたら「あれ、主人公の人と同じじゃない?」と(笑)。
――「U-31」とのタイトル通り、今作では年齢も大きなテーマになっています。
佐藤 サッカー界以外でもそうだと思うんですが、特にサッカー界では30歳前後がひとつの節目になると思うんです。その時に選手がどういう立場にいるかでプレーヤーとして、またひとりの人間としてどうクラブに貢献していけるかが決まってくると思います。周囲からの見られ方も変わってきます。
綱本 連載当時の担当編集の方も31か32歳で、普通のサラリーマンの方でもいろいろ考える時期だったみたいなんですね。岐路に立たされるというか。その時は僕も何者でもなかったので、いろんな自分の想いと担当編集の方の気持ちと、アトランタ組に感じていた想いと、全部を描ければなと思っていました。
――登場人物たちが引退を考えるシーンもあります。
佐藤 物語のなかでは、主人公が代表で一緒にやってきた選手が引退をするなど、僕の歳になると、やっぱり引退を考える選手が出てきます。クラブに貢献してきた選手がユニホームを脱ぐんだという悲しさはありますし、必ず試合に出ていた選手がピッチに立っていない、例えば双子の(佐藤)寿人なんかも今シーズンはピッチに立つ回数が減っていて、自分だってそうですが、それまで普通だったことが変わってきてしまう。
ただ、そういう寂しさはありつつ、次に向けてみんながどういう風に考えているのかというワクワク感もあります。その選手が今後どうクラブに関わっていくかなど、そういう姿を見る面白さはあります。
佐藤 (主人公が)古巣に戻ってきて、初めてチームメイトと会う時、みんなが「戻ってくるらしいよ」とざわついている感じ。あのシーンは自分と重なりますね。
綱本 実際にそんな感じだったんですか?
佐藤 みんながどう思っていたのか分からないですが、2年間、自分がいなくて、すごく大変な想いをしてギリギリで残留して、次のシーズンに落ちてしまった。その悔しさがある中で、自分はJ2降格を経験していなくて、強かった頃を知って帰って来たので、どういう風に見られているんだろうと不安はありました。メディアの方にも結構注目されたので。全員がウエルカムではないだろうなと、それはサポーターの方も含めて。どう認めてもらうか、すごく考えました。
――佐藤選手はその際、どうやってチームに馴染んだんですか?
佐藤 言い方が悪いですけど、当時いたメンバーより俺はこのクラブで結果を残してきたという自信があったので、それを糧にしました。もちろん移籍してしまった事実はありましたが、そういう自信を無理にでも持って、何を言われても負けないという想いでいました。
綱本 本当に偶然、主人公と同じ境遇ですが、僕らサポーターは勇人選手が帰って来た時は、よくぞ帰ってきてくれましたという気持ちでした。(主人公の)河野は落ちぶれて帰ってきましたが、勇人選手はどちらかというと危機を救うために戻って来てくれたというイメージなので。古巣への帰り方は違ったのかなと。ただ、漫画と似るというこんな偶然もなかなかないですよね。
佐藤 そうですね嫁がビックリするくらいですからね。嫁は原作を見たことがなくて、映画を僕が見ていたら「あれ、主人公の人と同じじゃない?」と(笑)。
――「U-31」とのタイトル通り、今作では年齢も大きなテーマになっています。
佐藤 サッカー界以外でもそうだと思うんですが、特にサッカー界では30歳前後がひとつの節目になると思うんです。その時に選手がどういう立場にいるかでプレーヤーとして、またひとりの人間としてどうクラブに貢献していけるかが決まってくると思います。周囲からの見られ方も変わってきます。
綱本 連載当時の担当編集の方も31か32歳で、普通のサラリーマンの方でもいろいろ考える時期だったみたいなんですね。岐路に立たされるというか。その時は僕も何者でもなかったので、いろんな自分の想いと担当編集の方の気持ちと、アトランタ組に感じていた想いと、全部を描ければなと思っていました。
――登場人物たちが引退を考えるシーンもあります。
佐藤 物語のなかでは、主人公が代表で一緒にやってきた選手が引退をするなど、僕の歳になると、やっぱり引退を考える選手が出てきます。クラブに貢献してきた選手がユニホームを脱ぐんだという悲しさはありますし、必ず試合に出ていた選手がピッチに立っていない、例えば双子の(佐藤)寿人なんかも今シーズンはピッチに立つ回数が減っていて、自分だってそうですが、それまで普通だったことが変わってきてしまう。
ただ、そういう寂しさはありつつ、次に向けてみんながどういう風に考えているのかというワクワク感もあります。その選手が今後どうクラブに関わっていくかなど、そういう姿を見る面白さはあります。

綱本将也(つなもと・まさや)/1973年9月25日生まれ、東京都出身。『モーニング』で連載中の「GIANT KILLING」、『ヤングチャンピオン』連載中の『スピーディワンダー』などを手掛ける。この映画の原作になった『U-31』は2002年のデビュー作。コアな千葉サポーターとしても有名。
――佐藤選手は今後のプランは考えていますか?
佐藤 常に考えています。
綱本 勇人選手もいずれ引退をする時が来ると思いますが、その時が来れば、これは多くのサポーターが言うと思うんですが、いつかジェフの監督をやってほしいですね。監督をやってくれれば、みんな付いていくと思います。今は長谷部さんが指揮官となりましたが、僕らが見始めた時のキャプテンなので、うれしいんですよ。もちろん監督が替わるのはうれしいことではないですが、頑張ってほしいという気持ちは強いです。そう意味では、やっぱり佐藤勇人という人物が監督になれば、みんな盛り上がりますよ。
佐藤 そういう風に言っていただけるのはありがたいですいし、本当にうれしいですね。自分も将来のことをリアルに悩み、どうやってこのクラブに貢献していくかを考えた時に、できるのはアカデミーに関わることだと思うんです。下部組織を全国で優勝できるようなチームにしたいですし、優秀な選手にどんどんトップに上がってもらって、当時のように多くのアカデミー出身選手にピッチに立ってほしいです。
綱本 その考えを聞けて、うれしいです。今は(井出)遥也選手が活躍しているんですが、勇人選手がユースから上がってきた時のようなジェフになってほしいです。理想はやっぱりユース出身者が増えることだと思います。
――今回はせっかくのチャンスなので、お互いに訊きたい、言っておきたいことはありますか?
綱本 僕はこうやって面と向かって話すことがなかったので、なにを聞いて良いのか分からないですね(笑)。
佐藤 僕は次回の作品では、U-16くらいの選手をテーマに描いてほしいです。自分はその世代に注目していて、世界と戦うためにはこの世代を強化しなくてはいけないと感じているんです。自分もジェフでそこを変えたいと思っています。それはジェフのトップチームのためになるはずですし、日本サッカー界のためにもなると思います。
――最後におふたりが考える今作の見どころを教えてください。
佐藤 主人公は日に当たっている良い時期に別のチームに移り、少し曇りがかった時期に古巣に戻ってくるんですが、そういった難しい状況はサッカー界以外でもあると思うんです。今作を見て感じて考えて、行動に移してもらえれば良いと思います。
綱本 全部言われちゃいましたけど(笑)。人間誰にでも、岐路に立たされる時があって、サッカー選手だろうが、作家だろうが、サラリーマンだろうが、そういう状況をどう変えていくかのヒントが今作にはあると思います。岐路に立った時の困難への立ち向かい方を描いたので、それをどう材料にしていくか、自分の立場と照らし合わせて考えていただければと思います。
写真:田中研治
@ジェフユナイテッド市原・千葉クラブハウス
佐藤 常に考えています。
綱本 勇人選手もいずれ引退をする時が来ると思いますが、その時が来れば、これは多くのサポーターが言うと思うんですが、いつかジェフの監督をやってほしいですね。監督をやってくれれば、みんな付いていくと思います。今は長谷部さんが指揮官となりましたが、僕らが見始めた時のキャプテンなので、うれしいんですよ。もちろん監督が替わるのはうれしいことではないですが、頑張ってほしいという気持ちは強いです。そう意味では、やっぱり佐藤勇人という人物が監督になれば、みんな盛り上がりますよ。
佐藤 そういう風に言っていただけるのはありがたいですいし、本当にうれしいですね。自分も将来のことをリアルに悩み、どうやってこのクラブに貢献していくかを考えた時に、できるのはアカデミーに関わることだと思うんです。下部組織を全国で優勝できるようなチームにしたいですし、優秀な選手にどんどんトップに上がってもらって、当時のように多くのアカデミー出身選手にピッチに立ってほしいです。
綱本 その考えを聞けて、うれしいです。今は(井出)遥也選手が活躍しているんですが、勇人選手がユースから上がってきた時のようなジェフになってほしいです。理想はやっぱりユース出身者が増えることだと思います。
――今回はせっかくのチャンスなので、お互いに訊きたい、言っておきたいことはありますか?
綱本 僕はこうやって面と向かって話すことがなかったので、なにを聞いて良いのか分からないですね(笑)。
佐藤 僕は次回の作品では、U-16くらいの選手をテーマに描いてほしいです。自分はその世代に注目していて、世界と戦うためにはこの世代を強化しなくてはいけないと感じているんです。自分もジェフでそこを変えたいと思っています。それはジェフのトップチームのためになるはずですし、日本サッカー界のためにもなると思います。
――最後におふたりが考える今作の見どころを教えてください。
佐藤 主人公は日に当たっている良い時期に別のチームに移り、少し曇りがかった時期に古巣に戻ってくるんですが、そういった難しい状況はサッカー界以外でもあると思うんです。今作を見て感じて考えて、行動に移してもらえれば良いと思います。
綱本 全部言われちゃいましたけど(笑)。人間誰にでも、岐路に立たされる時があって、サッカー選手だろうが、作家だろうが、サラリーマンだろうが、そういう状況をどう変えていくかのヒントが今作にはあると思います。岐路に立った時の困難への立ち向かい方を描いたので、それをどう材料にしていくか、自分の立場と照らし合わせて考えていただければと思います。
写真:田中研治
@ジェフユナイテッド市原・千葉クラブハウス