念入りに考えたキッカー。順番はいまでも覚えている
0-3で前半終了の笛が鳴ったとき、誰もがミランの勝利を確信していたはずだ。ロッカールームに戻り、私は選手たちにメモの言葉を一言一句漏らさず伝えた。そして流れを変えるためには、後半の早い時間帯に1点を返すことが必要だと言い渡した。窮地に立たされていたが、彼らにまだ逆転は可能だという意識を植えつけ、自信を取り戻させることが重要だった。
実際に逆転できたのは、選手たちがあきらめず、チームのために戦い抜いたからだ。その象徴が、二度も脚を痙攣させながら、最後までプレーを続けたジェイミー・キャラガーだ。キャラはそれこそ闘争心の塊で、リバプール愛が誰よりも強い。ピッチにいるだけでチームに活力をもたらすことができる男だ。自ら交代を要求しない限り、私は彼を下げるつもりはなかった。
後半開始から、最終ラインを4バックから3バックに変更した。ミランを混乱させるために下した決断だ。準々決勝のユベントス戦や、プレミアリーグとFAカップでも何度かやっていて、2トップの相手には有効なオプションになると手応えを掴んでいた。はたして、3バックが功を奏した。守備が安定したことで選手たちは本来のパフォーマンスを取り戻し、後半に3ゴールを奪って同点に追いつくことができたんだ。
実際に逆転できたのは、選手たちがあきらめず、チームのために戦い抜いたからだ。その象徴が、二度も脚を痙攣させながら、最後までプレーを続けたジェイミー・キャラガーだ。キャラはそれこそ闘争心の塊で、リバプール愛が誰よりも強い。ピッチにいるだけでチームに活力をもたらすことができる男だ。自ら交代を要求しない限り、私は彼を下げるつもりはなかった。
後半開始から、最終ラインを4バックから3バックに変更した。ミランを混乱させるために下した決断だ。準々決勝のユベントス戦や、プレミアリーグとFAカップでも何度かやっていて、2トップの相手には有効なオプションになると手応えを掴んでいた。はたして、3バックが功を奏した。守備が安定したことで選手たちは本来のパフォーマンスを取り戻し、後半に3ゴールを奪って同点に追いつくことができたんだ。
その後は延長に入っても決着がつかず、PK戦にもつれ込んだ。PKキッカーの順番は、いまでも覚えている。キッカーは念入りに考えたよ。ハマンとシセはPKが得意だったし、シュミツェルは高精度のキックとハートの強さを併せ持っていた。ヨン・アルネ・リーセの弾丸シュートは、説明するまでもないだろう。5人目に選んでいたのはジェラードだ。順番は回ってこなかったが、シーズン中も重要なPKを任せていたし、彼以外には考えられなかった。
選ぶべきか悩んだのは、シャビ・アロンソとL・ガルシアだ。ただシャビは試合中に1本PKを蹴っていて(止められたが、リバウンドを自ら押し込んだ)、それがマイナスに作用する可能性を考えて外し、L・ガルシアは5人に比べると安定感に欠けると判断した。ただ、いまこうして私の選択が正しかったと言えるのは、ひとえに選手たちが結果を出してくれたからだ。夢を見せてくれた彼らに感謝しているよ。
文●ラファエル・ベニテス
協力●ファン・ヒメネス(『AS』紙)
翻訳●下村正幸
【著者プロフィール】
ラファエル・ベニテス/1960年4月16日生まれ。現役時代は無名だったが、指導者として母国スペインの中小クラブで経験を積むと、01-02シーズンに就任したバレンシアを1年目でラ・リーガ制覇に導く。03-04シーズンにはラ・リーガとUEFAカップの2冠を達成し、翌04-05シーズンからはリバプールの監督に就任。プレミアリーグ史上初のスペイン人指揮官になるとともに、ここでも1年目からCL制覇を果たすなど、輝かしい実績を残した。その後はインテル、チェルシー、ナポリ、レアル・マドリー、ニューカッスル、エバートン、セルタなどの監督を歴任。25年10月からパナシナイコスの監督を務める。
※ワールドサッカーダイジェスト8月7日号の記事を加筆・修正
選ぶべきか悩んだのは、シャビ・アロンソとL・ガルシアだ。ただシャビは試合中に1本PKを蹴っていて(止められたが、リバウンドを自ら押し込んだ)、それがマイナスに作用する可能性を考えて外し、L・ガルシアは5人に比べると安定感に欠けると判断した。ただ、いまこうして私の選択が正しかったと言えるのは、ひとえに選手たちが結果を出してくれたからだ。夢を見せてくれた彼らに感謝しているよ。
文●ラファエル・ベニテス
協力●ファン・ヒメネス(『AS』紙)
翻訳●下村正幸
【著者プロフィール】
ラファエル・ベニテス/1960年4月16日生まれ。現役時代は無名だったが、指導者として母国スペインの中小クラブで経験を積むと、01-02シーズンに就任したバレンシアを1年目でラ・リーガ制覇に導く。03-04シーズンにはラ・リーガとUEFAカップの2冠を達成し、翌04-05シーズンからはリバプールの監督に就任。プレミアリーグ史上初のスペイン人指揮官になるとともに、ここでも1年目からCL制覇を果たすなど、輝かしい実績を残した。その後はインテル、チェルシー、ナポリ、レアル・マドリー、ニューカッスル、エバートン、セルタなどの監督を歴任。25年10月からパナシナイコスの監督を務める。
※ワールドサッカーダイジェスト8月7日号の記事を加筆・修正
【画像】どこもかしこもデザイン刷新! 世界各国の北中米W杯“本大会用ユニホーム”を一挙公開!
【記事】「凄いメンツ!」「中田ヒデと本田が肩組んでいるのが貴重」レジェンド日韓戦に出場した元日本代表戦士の“豪華”集合ショットが反響!「城さん、どんどんでかなるやん」




















定価:980円(税込)
定価:890円(税込)
定価:1100円(税込)