ハーフタイムの大声援にどれほど勇気づけられたか
20年が経ったいまでも、あの夜、起こったことはすべて鮮明に記憶している。とくに忘れられないのが、3点ビハインドのハーフタイムに、サポーターが「You'll Never Walk Alone」を熱唱していたことだ。ロッカールームまでは歌声は届かなかったが、地鳴りのようにスタジアム全体が揺れているのはわかった。あの声援に、我々がどれほど勇気づけられたことか。
当時のミランは欧州でも最強のチームのひとつで、一方のリバプールは、CLのタイトルからしばらく遠ざかっていた。まさに相手が格上だったが、怖れはなかった。勝利の確率は五分五分だと見積もっていたよ。ユベントスにチェルシーという強敵を破って決勝に進出したことで、チームはポジティブな空気に包まれていたからね。
もちろん、大一番に臨むうえでの難しさはあった。スティーブン・ジェラードが試合の3~4日前から興奮してよく眠れなかったと振り返っているが、私も現地入りして試合が近づくにつれ、徐々に気持ちが昂っていった。ただ、冷静でもあった。できる限りの準備をしてきたから、きっとうまくいくと信じていた。
当時のミランは欧州でも最強のチームのひとつで、一方のリバプールは、CLのタイトルからしばらく遠ざかっていた。まさに相手が格上だったが、怖れはなかった。勝利の確率は五分五分だと見積もっていたよ。ユベントスにチェルシーという強敵を破って決勝に進出したことで、チームはポジティブな空気に包まれていたからね。
もちろん、大一番に臨むうえでの難しさはあった。スティーブン・ジェラードが試合の3~4日前から興奮してよく眠れなかったと振り返っているが、私も現地入りして試合が近づくにつれ、徐々に気持ちが昂っていった。ただ、冷静でもあった。できる限りの準備をしてきたから、きっとうまくいくと信じていた。
開始1分にFKから失点したのは誤算だった。もちろんセットプレーは十分に警戒はしていたが、ミランが我々の対策の上をいったのだ。デザインされたその動きに対応できず、アンドレア・ピルロの蹴ったボールにパオロ・マルディーニが合わせ、フリーでシュートを打たせてしまった。
とはいえ、まだまだ時間が残っていたので、慌てることはなかった。それでも、23分に想定外の事態が起きる。2トップの一角で先発起用したハリー・キューウェルが負傷したのだ。プラン変更を余儀なくされた私は、ストライカーのジブリル・シセではなく、MFのウラジミール・シュミツェルを投入した。中盤を強化したいという狙いもあったからだ。
さらに前線の構成を2トップから1トップ+2トップ下に変え、そのトップ下にシュミツェルとルイス・ガルシアを置いた。これはピルロ対策でもあった。実際、守備力に秀でたL・ガルシアにピルロのプレーを制限させることで、ミランの支配力を弱めることができ、それが後半の反撃に繋がったと感じている。
ただ前半は、その後も苦しい展開が続いた。とくにラスト10分間は試合をコントロールできなくなり、立て続けに2失点。エルナン・クレスポに3点目を決められたとき、私はメモをまとめた。ハーフタイムに選手たちに伝える言葉を書き出したのだ。状況を立て直すため、ハーフタイムに入る前にアシスタントコーチのパコ・アジェスタランを呼び、ディディ(ディートマー・ハマン)のアップを急がせるように指示をした。
とはいえ、まだまだ時間が残っていたので、慌てることはなかった。それでも、23分に想定外の事態が起きる。2トップの一角で先発起用したハリー・キューウェルが負傷したのだ。プラン変更を余儀なくされた私は、ストライカーのジブリル・シセではなく、MFのウラジミール・シュミツェルを投入した。中盤を強化したいという狙いもあったからだ。
さらに前線の構成を2トップから1トップ+2トップ下に変え、そのトップ下にシュミツェルとルイス・ガルシアを置いた。これはピルロ対策でもあった。実際、守備力に秀でたL・ガルシアにピルロのプレーを制限させることで、ミランの支配力を弱めることができ、それが後半の反撃に繋がったと感じている。
ただ前半は、その後も苦しい展開が続いた。とくにラスト10分間は試合をコントロールできなくなり、立て続けに2失点。エルナン・クレスポに3点目を決められたとき、私はメモをまとめた。ハーフタイムに選手たちに伝える言葉を書き出したのだ。状況を立て直すため、ハーフタイムに入る前にアシスタントコーチのパコ・アジェスタランを呼び、ディディ(ディートマー・ハマン)のアップを急がせるように指示をした。




















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