そして、心残りはあるかと問われると、「やり残したものとか、そういったネガティブなものは何もないです」と言い、いつも選手たちに「楽しめ」と言い続けてきた真意を聞かれたスキッベ監督は、自身の人生観を存分に語った。

「好きなことを好きにする。それが人生を楽しむということだと思います。トレーニングもそうです。どれだけポジティブに、前向きに楽しさを追求できるか。それは非常に重要になってくると思います。私自身がサッカーを選手と一緒に楽しむことも大事ですし、プライベートでは子どもたちと親子として楽しむことが大事だと思っています。

　心地良い時間を常に持てるようにしたいと思っていますし、お互いが心地良くなることが最も楽しい状況だと思うので、好きなことを一緒に楽しむことがすごく重要だと思います。

　選手たちを試合に送り出す時も、いつも『しっかりと自信を持って良いサッカーをやろう』と伝え、『これまでトレーニングをしてきたのも今日の試合のため。自分たちがどれだけできるかを証明する場所がフィールドだ』と伝えてきました。点が取れない時は、その話をよく聞いていなかったのか、もしくは、あまり楽しめていなかったのか、どっちかだったんだと思います（笑）。

　昨年は70点くらい取って、今年は40点ぐらいですから、そこはちょっと課題でしたね。そこは次の監督に任せて、私は楽しみにしています」
 

　最後はユーモアも交えて新監督にエールを送ったスキッベ監督。22年に就任すると、サンフレッチェはすぐに魅力的なサッカーを見せるチームに激変し、プレーする選手たちもファン、サポーターもみんなが楽しい時間を過ごせたのは、その中心にスキッベ監督がいたからで、スキッベ監督が誰よりも楽しもうとしていたからなんだろう。

取材・文●寺田弘幸

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