「決めるんじゃないかなと思ったら、本当に決めた。素晴らしかった」と大久保も称賛。
ゴール後、森谷は歓喜の咆哮を上げながら控えの選手たちの下へ向かい、ともに喜びを分かち合った。試合後、森谷は“恩返し”というフレーズを口にし、安堵の笑みを浮かべる。
「出られない時も長かったし、いろんな人に支えてもらったので、恩返しがしたかった。結果が出せて良かったです」
森谷と言えば、昨年のホーム&アウェーの浦和戦でともに1ゴールを決めるなど、「浦和キラー」の異名を持つ。本人は「去年、2点取った試合がたまたま浦和戦だった」と謙遜するが、浦和戦は3戦3ゴールと滅法相性が良い。
エースの大久保は「決めるんじゃないかなと思ったら、本当に決めた。浦和キラーってあるんだなと。嬉しかったし、素晴らしかった」と殊勲の森谷を称賛。さらに、ゴールの形についても「(賢太郎の)あんなゴールはあまりない。本当にストライカーみたい。俺が入るところに入っていた」と賛辞を惜しまなかった。
天王山を制した川崎は、年間勝点で1位をキープし、第2ステージでも浦和と入れ替わる形で首位に浮上。着実にタイトルへの歩みを進めるなか、この日のヒーローは力強くこう言い切った。
「僕みたいに(試合にあまり)出ていない選手が出て、点を取るというのは、チームとしてもすごく刺激になる。それに、そういう選手が出ないと優勝できない」
その視線はすでに“優勝”へと向いている。
取材・文:大木 勇(サッカーダイジェスト編集部)