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クラブの歴史を紡ぐ森勇介監督率いる川崎U-18が臨むプレミアリーグのホーム最終戦。等々力に戻る指揮官が抱える5000人集客への想い

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2025年12月05日

合言葉は「毎試合3点取ろう」

 それでも“川崎らしさ”と言えるような攻撃的な姿勢は今季のU-18も健在だ。20試合を終えて、プレミアリーグでの総得点「40」は首位の鹿島ユースと1点差のリーグ3位タイ。対して、失点「45」はリーグワースト2位という、取られれば取り返すスタイルが、やはり森のチームにもDNAとして生きているようだ。

「点を取らなきゃ勝てないですからね。例えば、4つの引き分けと2勝2敗だったら、2勝2敗のほうが勝点は多いわけで。だから結局点を取らなきゃ上に行けない。当然負けない戦いをする時もあるかもしれないですが、点を取れなくなるほうが俺は怖い。

 だから守備も基本的に前から行きますし、やっぱり前から行く分、後ろに広大なスペースが空きますが、そこを守れるぐらいの個の力を伸ばしたい。前から行く分、前線の選手たちも凄く体力が付いて、タフになってきた。だからブロックを組んで守備をしようとは1回も言ったことがないです。ただ、自由度だけじゃ守れない部分もあるので、そこはもう少しオーガナイズする必要もあると思います。でも、選手の育成が大事で、戦術であまり固めたくはないんです。

 改めて、今年やってきた攻撃らしさはホーム最終戦でも見せたいですね。後期からは『毎試合3点取ろう』を合言葉にしているんです。本当はダメなんですよ、でも、失点しても別に良いじゃん、その分3点取れれば良いっていう話をしています。

 それにやっぱり観に来てくれた方は、ゴールシーンをたくさん見たいはずで、0-0のゲームより、4-3などの試合のほうが面白いはず。当然4-0で勝てるほうが良いんですよ。だから最後まで諦めない姿、戦う姿を意識させながら、もっとシュートを打って、もっとペナの中に入って、もっと攻撃のバリエーションを増やしたい。でも、以前よりもさらにゴールに向かってくれるようになっているとは感じますね。

 ただ、欲を言えば、綺麗な崩しが生まれるようになってきた分、もっと泥臭い点があっても良いのかなとも感じています。綺麗に崩さないと点を取れなくなってきているのは、気がかりかなところでもありますね」
 美しい崩しを目指す一方で、勝負を制するには気持ちのこもった魂の入ったゴールも必要ということなのだろう。そのなかでタレントも育っている。得点ランキングではMF新堀翔が12ゴールで3位、FW恩田裕太郎が11ゴールで4位に付き、DF関德晴、DF林駿佑の来季のトップチーム昇格も内定済み。この3年生の4人に引けを取らないタレントたちも顔を並べる。

「ほかの選手もそうですけど、良くやってくれていると思います。途中から出る選手が点を取ってくれたりもしている。そこも凄くポジティブですね」

 もっともより高みを目指す森は期待の表われとして「でも」と、厳しい目も向ける。

「自分は言う時は言うし、褒める時は褒める。そのなかで彼らはまだ高校生ですし、ムラっけがある。このムラっけをなくしてあげたいとはずっと考えています。

 あとはもっと選手たちで、厳しく言い合える集団にしていかないといけない。俺に言われるより選手同士で怒り合える関係を作ったほうが、絶対上手くいくし、やれてない選手が恥ずかしいってなるような練習の雰囲気が必要だと思います。そこまで持って行ければ監督なんかすることはあまりなくなりますからね。選手同士のコミュニケーションで解決できるのがベストです。

 それに今回の試合もそうですが、結局プロに行って不甲斐ない姿を見せてしまうとヤジられてしまうこともある。そういう声を良い意味で気にしない能力、反骨心もプロには必要です。俺なんか現役時代にどれだけ言われたことか(笑)。今は時代が違いますし、自分のような経験をする必要はないですが、やっぱり、自分を高め、メンタル的にも強い選手こそがより上に行くはずです。改めて選手って見ていただいて、応援してもらってナンボですから。そこを粋に感じないと俺は上達しないと思うんです。今のうちの3年生は、凄く良い年代だと感じているからこそ、そういう想いも大事にして欲しいですね。

 やっぱり世界を見たり、他のJクラブを見ても、10代や高校生のうちにトップデビューして活躍している選手が多くいる。だからこそフロンターレもすぐにプロで戦えるような選手をより輩出していかないといけない。単にトップに上げるだけが目的じゃないですからね」

 ホーム最終戦の相手は浦和ユース。等々力で14時にキックオフされるゲームに向けては、トップチームの試合と同じような様々なイベントを企画するなどクラブとしても全力でサポートする。

 優勝や残留が懸かった一戦ではない。それでもかつて等々力を沸かせた森の教え子たちが、新たな未来を描いてくれるゲームになるはずだ。その意味でも貴重な1日になるに違いない。監督初挑戦だった森にとっても「本当苦しかった、悩みばっかりの1年」の集大成にもなる。

 時に厳しい言葉を選手にぶつける姿もあるが、それは「そりゃ普段から穏やかで全部許容できる指導者になれたらベストですけど、選手のことが好きじゃなかったら指導者なんかやめたほうがいい」と、教え子たちの未来を誰よりも真剣に考え、愛情を持っているからこそである。

 改めて指揮官は熱く語る。

「自分のため、チームのためにプレーしますが、綺麗ごとではなく、同時に支えてもらっている人たちのために戦うことが大事。応援してもらえなければ、自分たちはなんの意味もない。だから等々力に少しでも集まっていただけたらありがたいですね。ユース強くなったね、上手くなったねってより言ってもらえるように、なんとか頑張ります」

 楽しみな一戦になりそうである。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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