そんな中、サッカー界に突如として現われ、大激震をもたらしたのが、フロレンティーノ・ペレスだ。
 
　建設業界で財を成した実業家は、2000年２月にR・マドリー会長選挙で当選。そして、その時に獲得を公約に掲げていたルイス・フィーゴ（ポルトガル代表MF）を実際に00年夏に獲得する。宿敵バルサからの「禁断の移籍」、そして6000万ユーロ（約72億円）で新レコード更新と、二重の意味で巨大なインパクトをもたらした。
 
　さらにペレスは、翌01年夏にジヌディーヌ・ジダン（フランス代表MF）をユベントスから引き抜くために7350万ユーロ（約88億2000万円）を投下。２年連続で新レコードを更新し、ヨーロッパ・サッカー界に第１次移籍金バブルをもたらした。
 
　ちなみにマドリーは、その後もロナウドに4500万ユーロ（約54億円）、デイビッド・ベッカム（イングランド代表MF）に3750万ユーロ（約45億円）を投じるなどビッグネームを金に糸目を付けずに乱獲し、「ロス・ギャラクティコ（銀河系軍団）」と呼ばれる伝説のチームを築き上げた。
 
　ジダンの記録は、03年のロナウジーニョ（パリSG→バルセロナ／3225万ユーロ＝約38億7000万円）、06年のアンドリー・シェフチェンコ（ミラン→チェルシー／4300万ユーロ＝約51億6000万円）なども破れず、８年間に渡ってサッカー界のレコードに君臨する。
 
　そして、移籍金レコードを破るのは、やはりペレス・マドリーだった。06年２月に成績不振によって辞任したペレスだが、09年６月にマドリー会長の座に復帰。するとその祝砲とばかりに同年夏、マンチェスター・Uのクリスチアーノ・ロナウド（ポルトガル代表FW）獲得に9400万ユーロ（約112億8000万円）を投じたのだ。
 
　さらにペレス・マドリーはその４年後の13年夏、トッテナムのガレス・ベイル（ウェールズ代表MF）を１億100万ユーロ（121億2000万円）で強奪。ただ、C・ロナウドを「世界最高額の選手」として扱いたかったマドリーは、現在でも頑なにこの金額を認めておらず、9100万ユーロ（約109億円）をオフィシャル価格にしている。