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「アクションフットボール」の理想と現実の壁。ジョン・ハッチンソンがジュビロ磐田に残したもの

カテゴリ:Jリーグ

河治良幸

2025年10月01日

“if”は多々あるが...

中位に甘んじる磐田。残り7試合で巻き返せるか。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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 ルヴァンカップのガンバ大阪戦などで採用した3バックも、対戦相手や試合の状況を見た有効なオプションとしてうまく組み込めたとは言い難い。

 戦力面の不運もあった。シーズン前半戦に3得点・9アシストと攻撃を牽引したジョルディ・クルークスが、夏に横浜FMへ移籍。大卒ルーキー角昂志郎の抜擢で一時的に穴を埋めたが、トータルでは“困ったらジョルディ”という明確な武器を失ったことは大きなダメージとなった。

 もちろん、長いシーズンでは「ここで惜しくも外れたゴールが決まっていれば」「ここでジャッジの不利がなければ」といった“if”は多々あるが、31試合を戦ってきて現在の位置にいる事実は、必然の結果として、素直に評価するしかない。

 それでも藤田SDが強調するように、継続してやってきた“アクションフットボール”のベースは、明確にチームに根付いた。藤田SDは「すべてができたわけではないが、土台はできた」と語り、ハッチンソン氏から引き継いだ安間貴義監督も、残された時間と試合で大きく変えることはないと明言している。
 
 上原は「新しいことにチャレンジしていた可能性を感じていた」と振り返り、松原后は「助言を多く受け、感謝している」と語った。佐藤凌我にいたっては「人生で初めてトップ下に挑戦させてもらい、成長できた」と話し、個々の成長にもつながったことを実感している。藤田SDは「苦渋の決断」と表現したが、クラブが目ざすJ1昇格を果たすための決断だった。

 現在8位の磐田は自動昇格がかなり厳しくなり、6位以内に与えられるプレーオフの権利を得られる保証は何もない。ここから安間新監督のもと、時には綺麗事ではない手段も使いながら、一つひとつ勝利を積み上げて浮上するしかないが、現在のチームには間違いなく、ハッチンソン氏が根付かせてきた土台があり、ここから昇格を勝ち取ることは、その価値を証明することにもなるだろう。

取材・文●河治良幸

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