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「アクションフットボール」の理想と現実の壁。ジョン・ハッチンソンがジュビロ磐田に残したもの

カテゴリ:Jリーグ

河治良幸

2025年10月01日

緊張感と前向きなエネルギーを与えた点は大きな功績

志半ばで磐田を去るハッチンソン。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 2025シーズンの途中、ジュビロ磐田はジョン・ハッチンソン監督の退任という決断を下した。

 就任から1年弱、J1昇格を最大の目標に掲げるクラブで、攻守にアグレッシブなフットボールを浸透させようと取り組んできたが、シーズン残り7試合で昇格圏との差は広がり、順位は8位。結果が伴わなかった現実のなかで、無念の監督交代となった。

“ジョン”の呼び名で選手やファン・サポーターからも親しまれたハッチンソン氏が磐田に残したものは何だったのか。

「自分たちが目ざすプレーモデルがあるなかでジョンが来てくれて、エッセンスを入れる。あくまでもその軸なので。監督のスタイルで我々のフットボールは動かない。僕らはチームのフィロソフィもプレーのフィロソフィもありますし、それがあっての第一弾で、ジョンが最適だと思って決めました」

 そう語るのは、監督任命の責任を担う藤田俊哉SDだ。ハッチンソン氏が持ち込んだのは“アクションフットボール”という概念だった。就任当初は、彼がコーチや監督として関わっていた横浜F・マリノスが広めてきた流儀を踏襲する形で、“アタッキングフットボール”というワードが掲げられたが、ハッチンソン氏は攻撃の局面だけでなく、守備でも能動的にアクションを起こす、ピッチ上で勇敢に動き、ゴールに直結するプレーを重ねることを徹底させた。

 シーズン前半はその姿勢が鮮明で、指揮官の理想を基準とした課題は多くても、選手たちが生き生きとプレーする姿も見られた。「毎日が競争」という言葉の通り、ポジション争いに関しても、ショーン・オントン・コーチが作成するメニューを中心とした、日々の練習からフラットな評価で選手を見極め、敗戦が続いたり、パフォーマンスが低下すれば、複数のスタメン変更をためらわなかった。
 
 クラブ全体に緊張感と前向きなエネルギーを与えた点は、大きな功績と言える。

 キャプテンを選手投票で決定したのも特徴的だった。鹿児島キャンプで最年長GK川島永嗣がキャプテンに選ばれ、その下に上原力也ら数人を“リーダーシップグループ”として、コーチ陣と選手の風通しを良くした。監督が上から目線で統率するのではなく、時に前から、時に横から支えるように寄り添った。

 練習前後に選手をいじるような茶目っ気も。組織を一方的に支配するのではなく、選手の自主性を重んじるスタイルが、苦しい時期もチームを支えていたことは確かだ。

 ただし、フットボールの面を厳しく評価すると、理想は安定的な結果に結びつかなかった。上位クラブとの試合では互角以上に渡り合えた一方、下位相手に勝点を落とす試合が続いた。ビルドアップの構築が未成熟なまま、後半戦はボールロストからのカウンターや背後を突かれる場面が増加。攻撃的な意志が守備の不安定さを補えなくなり、昇格争いのプレッシャーが高まるなかでチームは失速していった。

 チームのベース作りを重視するなかで、セットプレーが後回しになったことも、結果として夏場以降の戦いで大きな足枷となった。特に残留争いをしている下位の対戦相手は、磐田のウィークを徹底的に突くことや、セットプレーに勝機を見出してくる。

 また監督としての経験不足からか、試合中の状況変化に弱いところがあり、決断が遅れることも。ハッチンソン体制での最後の試合となった大宮戦は、2点リードから4失点という最悪の展開になってしまったことも、少なからずそこの問題が影響している。
 
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