そう回顧する杉岡とともに、チームの手綱を締めるMF高宇洋は「入学してから一度も全国のタイトルを取っていない。去年から勝負弱いと言われてきて、僕ら３年生はそれぞれでいろいろ考えて、取り組んできた。その結果が、ゲーム運びの巧さだったり、相手の変化に対してスムーズに対応できるチーム力につながっているんだと思います」と説明する。準決勝までの５試合はすべて前半のうちに先制点を奪い、うち３試合は11分以内に挙げた。流れが相手に傾いてもゲームのなかで解決策を見出し、一度も同点弾を許していない。
 
　朝岡監督は「決勝は明日ですが、この大会でどのチームより多く試合をしたのはウチなんです。夏に６試合もできた。これは大きい」と語る。そして今大会でＭＶＰ級の働きを見せている真瀬は、「今日で応援してくれた仲間たちが千葉に帰るんです。合宿があって。だから明日の決勝は彼らの思いも背負って戦って、かならず結果を出したい」と力を込めた。
 
　ファイナルでは、互いの手の内を知り尽くしたエリアライバル、流経大柏とあいまみえる。今年度は県予選決勝で流経大柏が、プレミアリーグEASTで市立船橋がそれぞれ１－０で制し、星は五分だ。娯楽度満点のひりひりする好勝負が、展開されるはずだ。

取材・文：川原 崇（高校サッカーダイジェスト編集長）