川口能活クロニクル――20年前のブラジル戦勝利“マイアミの奇跡”は情報分析の賜物

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年07月30日

ブラジルのセンターバックの背後を突ければ必ず勝機は生まれる。

“マイアミの奇跡”は決して“奇跡”ではないという川口。徹底した情報分析によって大勝利を掴んだ。(C) SOCCER DIGEST

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■徹底した情報分析で見えた弱点
 
 アトランタ五輪の本大会は出場16か国を4グループに分け、各グループ上位2チームが決勝トーナメントに進出する方式で行なわれました。
 
 僕たちは、初戦は南米代表のブラジル、2戦目はアフリカ代表のナイジェリア、3戦目はヨーロッパ代表のハンガリーと対戦することになったのですが、ブラジル戦は五輪開催都市のジョージア州アトランタではなく、フロリダ州マイアミのマイアミ・オレンジボウルで開催されました。
 
 初戦を優勝の大本命であるブラジルと対戦する日本。戦力的に見たら、「負けて当たり前」の状況ではありましたが、僕たちは決して“負けることを前提”で試合には臨みませんでした。やるからには勝ちたい。そんな強い気持ちをもって、当日のピッチに立ちましたし、勝つための準備もチーム全体で怠ることはありませんでした。むしろ準備に関しては徹底的にやりました。先の世界選抜戦には日本のスカウティングチームが乗り込み、念入りに情報を分析しました。その結果、ブラジルの弱点を洗い出すことができたのです。
 
 そのひとつが、ブラジルのセンターバック2人の“背後のスペース”でした。ゴールキーパーのジダを含めて、この3人にはスピードがありませんでした。アウダイールがオーバーエイジ枠として直前で合流してきたためか、3人の連係に不安を抱えていました。センターバックの背後の対応の拙さを突くことができれば、僕たちにもチャンスがある、というのが、スカウティングスタッフの分析結果でした。
 
 このことは、ミーティングでも練習でもつねに伝えられていて、食事会場でのテレビにはつねにブラジルの選手たちのプレーを編集したビデオが流されていました。そこでも意図的に、センターバックの守備の対応がうまくいっていないプレーをたくさん流していたのを覚えています。
 
 スタッフによる徹底した“刷り込み”によって、僕たちは完全に洗脳されていました。ブラジルのセンターバックの背後を突ければ、かならず勝機は生まれる、と。ただただ勝つことだけを信じて、僕たちは本番当日を迎えたのです。
 
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