――では次に、映画の大きなテーマでもある、30代という年齢についてお聞きしたいと思います。映画では31歳の選手の苦悩が描かれていましたが…
 
佐藤　そうっすね。その次のことを絶対に考えなくてはいけない年齢だと思うし。でも人それぞれだと思います。ボロボロになっても、サッカーが大好きだから現役で続けていきたいという人もいれば、花の美しい時に終わりたいという選手もいるでしょうし。自分も主人公と同い年だったんで、なんか考えるところもありましたね。なんかオレも考えなければいけないのかなあなんて（笑）
 
根本　ベテラン選手同士で話し合ったりするんですか？　辞められた方とかとも。
 
佐藤　辞めた人とは話すこともありますし、いろいろ次のことも考えますけど、でも自分はボロボロになっても現役でいたいほうかなと思っているんで、泥臭くやっていきたいなとは思っています。
 
根本　この撮影をしている時に俳優陣みんなで感じてたんですけど、僕らの世界でも、30代ぐらいという切り替わりの時に、やっぱりこの世界から離れていく人がいるんです。しかも全員が気持ちよく辞めていくわけではなくて、志半ばというか、人生いろんな形があって自分は違う人生を選ぶという方もいて、実際に相談をされたこともあります。やっぱり同じだなあと思いましたね、その心の葛藤とかも含めて。
 
佐藤　（おそるおそる）あの、すいません、いまおいくつなんですか？
 
根本　（ひそひそ声で）37なんです…
 
佐藤　　見えねー！　（いきなりへりくだって）あ、あの、気づかなくてすいません…
 
根本　　や、やめてください（周囲爆笑）　いや、もう特にプロスポーツ選手の場合は寿命が短いというのはありますでしょうし、そういう中でやっているから、あれだけ多くの人を引き付けられるんだろうなと思いますね。

佐藤　　37はびっくりしました。
 
根本　　（笑）撮影中、けっこうこの映画、刺さるなあって話してました。さっき「これみてたら自分も考えなくちゃいけないのか」って仰ってましたが、それこそ自分も演じながら思ってましたからね。
 
――若手からの突き上げもありそうですね。
 
根本　　あります、あります。ただ俳優の場合は、年齢がいっている人にしか出せない味というのも確実にあって、例えば80歳でも80歳なりのことができる。でも、プロスポーツの世界というのはどうしたって限られてしまうのがシビアですよね。たぶん僕らが30になってから考えることよりも、シビアなんじゃないかと思いますね。
 
――では最後に佐藤選手に映画についてのコメントをいただけますか。
 
佐藤　　自分は選手として見ていて、すごい考えさせられたというか、主人公も同い年だし、１つ１つのセリフとかにも刺さるものがあって、サッカー選手に考えさせるような映画だったなあと思いましたね。31歳のベテラン選手が何を考えているか、いろいろ考えさせられた映画でした。
 
根本　　ありがとうございます。ちなみに映画ってご覧になりますか？
 
佐藤　　よく見る人に比べたら見ないほうかなあ。
 
根本　　好きな映画とかありますか？
 
佐藤　　あー、子供の映画はよく見てますね。ディズニーとかジブリとか。あと「くれよんしんちゃん」はよく見てますよ（笑）
 
――今日はありがとうございました！

写真：田中研治
＠ジェフユナイテッド市原・千葉クラブハウス