岩田がこう語気を強めるのも、海外へ赴き、数々のエゴイストと出会ったからだろう。実際、フットボールリーグ１に行けば、「人を押しのけても這い上がってやる」という野心を前面に押し出してくる猛者ばかりだ。そういう環境に身を投じたからこそ、喜田や松原のような人間力のあるプレーヤーの凄さを痛感しているはずだ。
「海外で２～３年プレーしていると、全員が自我を押し出すと言っても過言ではないくらいの環境なんです（苦笑）。でも、そういう選手がたまにいるチームの方が強いのかなと。プレミアリーグの強いチームなんかも自我の強いタレントが必ずいる。だけど、彼らは要所で『人のため』という犠牲心を出す。
その両方を兼ね備えたチームじゃないと勝てないなと感じるので、それを持ち合わせたマリノスは必ず浮上できるはず。２人に任せておけば、後半戦は大丈夫だと思います」
人間力のあるプレーヤーの凄さを痛感
岩田の心からのエールが松原と喜田、そして他のメンバーに響いて、６月の代表ウイーク明けからの快進撃につながれば理想的。マリノスのスタイルは確かに2022年当時とは大きく違ってはいるものの、今は結果を出すしかない。そういう割り切りも、ここからチャンピオンシップに挑むことになる岩田にとっての１つの学びになりそうだ。
※第１回終了（全５回）
取材・文●元川悦子（フリーライター）
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