インテルはパリSGが苦戦したCLのリーグフェーズを全体の４位で順調に勝ち上がると、オランダのフェイエノールトに完勝。準々決勝ではバイエルンに競り勝つと、準決勝はバルセロナと合計スコア７－６という打ち合いを制してファイナルに勝ち上がった。

　インテルと言えばシモーネ・インザーギ監督が植え付けた安定感のイメージが強いが、バルセロナ戦ではある種、相手の土俵に乗った戦いを乗り越えており、特に第２レグで後半アディショナルタイムにフランチェスコ・アチェルビのゴールで追い付き、延長戦で交代出場のMFダビデ・フラッテージが決勝ゴールを決めるという流れを見ても、タフな戦いでの力強さを感じさせる。

　３バックをベースに３－５－２と３－４－２－１を使い分けるインテルにあって、フランス代表FWマルクス・テュラムとダブルエースを組むアルゼンチン代表FWラウタロ・マルティネスが怪我で万全とは言えないのが不安要素ではある。

　ラウタロはここで無理をせず、CWCに照準を合わせる可能性もあるが、セリエAの最終節となったコモ戦ではベンチ入りしており、勝負所の切り札として投入される可能性はありそうだ。

 

　インテルの強みはトルコ代表MFハカン・チャルハノールを軸とした中盤の構成力であり、経験豊富なアルメニア代表MFヘンリク・ムヒタリアン、イタリア代表MFニコロ・バレッラがチャンスの起点として味を付ける。

　この中盤でパリSGのビティーニャを中心とした組み立てを封鎖しながら、ハイスケールなオランダ代表デンゼル・ダンフリースと稼働力の高い左利きのイタリア代表フェデリコ・ディマルコという両翼に、良い形でボールを展開することができるか。

　基本的な前線の火力はパリSGが上回っているようにも見えるが、インテルはチャルハノールの正確なキックを武器とするセットプレーの得点力も期待できる。

　力的には非常に接近していると見られるパリSGとインテルだが、CLファイナルというのは一瞬の隙やディテールの差が、結果的に勝負の決め手になる。お互いの戦い方がほぼインプットされているなかで、指揮官の采配を含めて、どこが勝負の分水嶺になるのか。キックオフから目が離せない戦いになりそうだ。

文●河治良幸

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