CL決勝進出のインテルが採用する3-5-2は“一周回って新しい”【コラム】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2025年05月29日

インザーギ監督が元ストライカーの感覚を生かす

CL決勝でパリ・サンジェルマンと対戦するインテル。(C)Getty Images

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 今シーズンの欧州チャンピオンズリーグ(CL)、ファイナリストになったイタリアのインテル・ミラノは一つの戦い方を示している。

 3-5-2というフォーメーションは、“一周回って新しい”。90年代に流行ったウイングバック、かつてはデフォルトだった2トップ。それがプレーモデルの軸になっている。

 Jリーグでは3-4-2-1が主流の一つで、ウイングバックは珍しくないようにも思える。しかし、ウイングバックは一人でサイドを支配、蹂躙できるだけのパワー、馬力が必要。Jリーグの場合はサイドハーフ、もしくはサイドバックの派生形に近い。

 インテルのウイングバックは攻守の策源地、発火点になっている。右がデンゼル・ドゥムフリース、もしくはマッテオ・ダルミアン。左がフェデリコ・ディマルコ、もしくはカルロス・アウグスト。彼らはサイドのアップダウンを繰り返しながら、攻守に貢献できる。

 CL準決勝、FCバルセロナ戦では、ディマルコが今や世界最高のアタッカーと言えるラミネ・ヤマルの崩しに苦しみながらも背後を突くことで対抗。当然、受け身に回ることもあったが、周りの選手と守備網を作り、ダメージを最小限にとどめた。ドゥムフリースはカウンターでは、弾丸のように飛び出している。2トップと連係した攻撃は勝利の決め手になった。トランジションから長い距離を走ってのアシストなど見事だった。

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 2トップも、ノスタルジーすら感じさせる。ストライカーとトップ下の2トップはいくらでもあるが、ストライカー二人を並べて、守備を突き崩す戦い方は希少になっている。FCバルセロナを轟沈させた決勝点では、GKのロングキックをメフディ・タレミが頭でつなぎ、マルキュス・テュラムがドリブルで奥深くまで侵入し、折り返しをタレミがエリア内で受け、落としたところでダビデ・フラッテージが一撃を突き刺していた。

 今や、ストライカーを一人も使わず、ゼロトップを用いるようなクラブも多くなった。その点、指揮官であるシモーネ・インザーギ監督は、元ストライカーの感覚を生かしている。優れたFWを二人組み合わせることで、シンプルに最高の利益を得られる。

「二人で得点できる」

 ストライカーには、それだけの自負心があり、そこにウイングバックを強く結びつけている。中盤にもハカン・チャルハノール、ニコロ・バレッラ、ヘンリク・ムヒタリアンなどタフなだけでなく、ボールプレーにも長けた選手を起用し、3バックにはイタリア伝統の守備の堅牢さを担保する選手を配置。中央の守備は固い。

 回帰的3-5-2は、イタリアという守備の土壌のあるチームで、かつての腕利きストライカー監督だからこそ、できた仕事なのだろう。

文●小宮良之

【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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