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U-20日本代表の10番・大関友翔を突き動かすロス五輪への決意。背景にあった悔しすぎた経験と川崎での新背番号「16」への想い【インタビュー】

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2025年04月10日

16番と五輪への想い

昨年のアジアカップにはトレーニングパートナーとして参加。A代表の先輩たちから多くを学んだ。(C)SOCCER DIGEST

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 大関といえば、福島時代は尊敬する中村憲剛を意識して14番を背負ってきた。ただ、現在の川崎ではアカデミーの先輩である脇坂泰斗が伝統の14番を継承しており、大関は新シーズンで「16」を背負う。かつて大塚真司、鄭大世、楠神順平、大島僚太、長谷川竜也らが付けた番号で、前任者は昨夏、プレミアリーグ2部のストークに移籍した瀬古樹だった。

「(川崎1年目で付けていた)28はパト(リッキ)が付けていますし、クラブのほうから16はどうかと聞いていただいて、自分で選べる立場ではないので、付けさせていただきました。

 16番は多くの偉大な方たちが背負った番号。直近では、(瀬古)樹くんが付けていて、樹くんには本当に良くしてもらいましたし、定期的に連絡も取っていました。だから、尊敬する先輩の番号を背負えるのは誇らしいですね。

 実は樹くんとはシーズンが終わった頃に『来季どうするんだ』みたいな話をしていて、冗談で『16、空いているから付ければ良いんじゃん』みたいなことを言われていたんです。だから実際に16をもらうことになり、樹くんに連絡を入れて、ふたりで『マジで?』みたいに笑いあってもいましたね。

 14番への想い? 他の番号と比べるわけではないですが、そりゃアカデミーで中盤をやってきた選手はみんな想いはありますよ。でも今は絶対的な存在であるヤスくん(脇坂泰斗)がいる。自分はそこに関してどうこう言える結果を残していないですから。でもいつかは、良い意味でヤスくんを脅かせるような存在になりたい。それが引いてはフロンターレのためになるはずです」

 そしてもうひとつ、大関には大きな目標もある。前述したU-20アジアカップで日本は準決勝で敗れたが、ベスト4入りを果たし、今年9月にチリで開催されるU-20ワールドカップの出場権を獲得。2005年2月6日生まれの大関はいわゆる“早生まれ”で、同世代の年長者として、2028年のロス五輪出場も目指しているのだ。
 
「(年代別代表は)常に呼ばれないといけない場所ですし、呼ばれるためには川崎での活躍が必要。なので、大前提としてフロンターレで試合に出ること、そして代表に呼ばれて当然だよねという活躍をしたいです。

 ロス五輪は明確な目標です。必ず出たい。(2023年の)夏に、SBS(カップ)に出場するU-18代表に呼んでもらい、10番を初めて背負わせてもらった時に、僕は世代の一番上で、ゆくゆくはこのチームはロス五輪につながるという話を聞かせてもらい、五輪を意識するようになりました」
 

今季はプロ1年目だった2023年に一緒にプレーした瀬古(写真右端)が付けていた「16」を継承。新たな姿を見せている。(C)SOCCER DIGEST

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本人は否定するがコミュニケーション能力の高さも真骨頂だ。先輩の佐々木(写真右)のことは“アニキ”と呼ぶ。(C)SOCCER DIGEST

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 またその夢には、アカデミー時代から川崎で同学年として切磋琢磨し、先に大舞台に立ったライバルの存在も関係している。

「(2024年の)パリ五輪で、高井(幸大/川崎DF)が活躍している姿を見せられましたからね。そしてA代表にまで駆け上った。『ああ、こうやって人って上に行くんだなって』思いを知らされましたし、正直な話をすると、高井がA代表に呼ばれた時は『おめでとう』と言える心境ではありませんでした。いや、そこはチームメイトとしてさすがに言いましたよ。でも、本当に悔しかった。人生で一番刺激をもらった出来事かもしれないですね。俺もやらなくちゃと。

 自分はパリに出られなかったので、まずロス五輪でしっかりメンバーに選らんでもらうこと。そしてその先のA代表も目標にしたい。そのためにも高井にはずっとA代表にいてもらってその背中を追いかけたいですね」

 以前から線の細さを指摘されることもあったが、「喉が細くて食べるのが本当に遅いんですよ。それも体重が増えにく体質みたいで。なので福島では寝るか食べるかの生活をしていました」と冗談っぽく話しながら、この1年で4キロほど増量したという。

 トップカテゴリーで輝く準備は着々と進んでいる。2月6日には20歳の誕生日を迎えた。

「20歳で迎える勝負のプロ3年目。試合に出て活躍することが第一目標ですし、何より自信は付けてきたので、あとは自分がどれだけ力を示せるかです」

 ちなみに近年は若手の海外移籍が格段に進んでいる。そこへの想いはどうなのか。

「昨年の夏にインタビューしていただいた際にも話したと思いますが、やっぱり選手である以上は、より高いレベルでプレーすることが目標になります。A代表に入るには海外で結果を残す必要もあります。ただ今の自分は海外どうこうと言える選手ではない。それを考えるのはJ1でしっかり活躍してフロンターレを優勝させてから。だから今はフロンターレで活躍することしか考えていません」

 頼もしい言葉である。

 自身は否定はするが、コミュニケーション力にも優れ5歳上のDF佐々木旭を“兄貴”と慕い、「パパみたいな存在」という17歳上の小林悠にも積極的に話かけて、自らの世界を広げている。その意味でも彼の可能性は無限大だ。

 川崎での中盤のレギュラー争いは熾烈を極めるが、その雄姿にぜひとも期待したい。

(全3回/2回目)

■プロフィール
大関友翔 おおぜき・ゆうと/2005年2月6日、神奈川県生まれ。真福寺FC―FC多摩ジュニアーFC多摩Jrユース―川崎U-18―川崎―福島。川崎育ちの新時代の司令塔。プロ2年目の昨季、レンタルで加わった福島では中盤の欠かせない存在として活躍。今季は愛する川崎でのブレイクを期す。ロス五輪を目指す若き代表の中軸選手でもある。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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