「(藤春のオーバーエイジ内定について)正直なにも思わなかった」
ひと通り後悔の言葉を吐き出したところで、リオ五輪についてそれとなく水を向けてみた。亀川がU-23日本代表で務める左SBには、日本代表でG大阪に所属する藤春廣輝のオーバーエイジ枠での招集が内定している。
その藤春は左サイドを主戦場に、何度でも上下動を繰り返すスタミナと俊足の持ち主で、「どんなボールでも、僕が良いパス、ナイスパスにしてあげる。それぐらいの気持ちを持っている」と意気込みを語っている。
亀川はU-23日本代表のSB陣が、「層が薄い」と揶揄されて「オーバーエイジを使う必要がある」と言われていたのは知っている。それでも自身のポジションに強豪チームの、そしてA代表のライバルが入ってきたのだ。心中は決して穏やかではなかっただろう。
しかし、この男は動揺などなく、「(オーバーエイジを使用されたことについて)正直なにも思わなかった」と歯牙にもかけていない様子を見せた。「なにも思わなかった」と他人事のような言葉を使った真意は、一体どこにあるのだろうか。それはすぐに判明した。
「もちろんリオ五輪に行きたい気持ちは強い。そのために自分がまずやれることは、自分の良さを発揮して、アビスパで結果を出して、選ばれるパーセンテージを上げること。(まだ選出は決定していないので)意識するどうこうではない。
アビスパあっての僕だと常々思っている。気持ちだけ先走ってリオ五輪のことを考えていても仕方ないし、それは絶対にダメなこと。今季の第一目標はチームの残留。『リオ五輪に出たい』は一番ではないし、今は本当にクラブのことだけを考えている。
そうしてアビスパのためにプレーをして、もしU-23日本代表に選出されるのであれば、そしたら本大会目前になったらスイッチを入れ替えようかなと思う」
すべては福岡のために――。この若者は、自身が描く未来を掴み取るためには、目の前に集中しなければならないことを知っている。それがクラブに貢献することであり、その貢献がブラジルの地につながることを分かっている。
一心に、誠実に前だけを見つめて、亀川はこれからも走り続ける。ピッチで見せる、決して藤春にだって劣らないオーバーラップのように。
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
その藤春は左サイドを主戦場に、何度でも上下動を繰り返すスタミナと俊足の持ち主で、「どんなボールでも、僕が良いパス、ナイスパスにしてあげる。それぐらいの気持ちを持っている」と意気込みを語っている。
亀川はU-23日本代表のSB陣が、「層が薄い」と揶揄されて「オーバーエイジを使う必要がある」と言われていたのは知っている。それでも自身のポジションに強豪チームの、そしてA代表のライバルが入ってきたのだ。心中は決して穏やかではなかっただろう。
しかし、この男は動揺などなく、「(オーバーエイジを使用されたことについて)正直なにも思わなかった」と歯牙にもかけていない様子を見せた。「なにも思わなかった」と他人事のような言葉を使った真意は、一体どこにあるのだろうか。それはすぐに判明した。
「もちろんリオ五輪に行きたい気持ちは強い。そのために自分がまずやれることは、自分の良さを発揮して、アビスパで結果を出して、選ばれるパーセンテージを上げること。(まだ選出は決定していないので)意識するどうこうではない。
アビスパあっての僕だと常々思っている。気持ちだけ先走ってリオ五輪のことを考えていても仕方ないし、それは絶対にダメなこと。今季の第一目標はチームの残留。『リオ五輪に出たい』は一番ではないし、今は本当にクラブのことだけを考えている。
そうしてアビスパのためにプレーをして、もしU-23日本代表に選出されるのであれば、そしたら本大会目前になったらスイッチを入れ替えようかなと思う」
すべては福岡のために――。この若者は、自身が描く未来を掴み取るためには、目の前に集中しなければならないことを知っている。それがクラブに貢献することであり、その貢献がブラジルの地につながることを分かっている。
一心に、誠実に前だけを見つめて、亀川はこれからも走り続ける。ピッチで見せる、決して藤春にだって劣らないオーバーラップのように。
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)

6月9日発売号のサッカーダイジェストは、「ヤングガンズ100」を特集。リオ五輪、ワールドカップアジア予選に向けて注目すべきヤングプレーヤーは? 92~99年生まれの選手を対象に100人ピックアップしました。インタビューでは、柏の伊東選手、浦和の関根選手が登場。またU-23日本代表企画では登録メンバー18人を大予想し、オーバーエイジ選考の近況に迫ります。クラブダイジェストでは、J3で好調の相模原を取り上げています。