今回のノーリッジ戦に先立って注目を集めたのは、１週間前に行なわれたアーセナル戦でのヒュルツェラー監督のコメントだった。強豪アーセナルを相手に、31歳の若手監督は三笘をベンチスタートに。代わりに、コートジボワール代表のシモン・アディングラを先発で起用した。

　三笘をベンチスタートにした理由について、ヒュルツェラー監督は次のように説明した。

「我々は選手の数が多く、チームとして大きなポテンシャルも有している。ミトマはシーズン前半戦と日本代表戦で多くの試合に出場した。日本代表として移動も多かった。彼は少し疲れているようだ。ただ、試合に出ればいつも大きなインパクトを与えてくれる。

　彼はスペシャルな選手で、我々のチームで最高の選手のひとり。すぐに先発メンバーとしてピッチに戻ると思う。ただし、競争があるのは良いことだ。選手全員が試合や練習で良いパフォーマンスを見せて初めて、出場に値すると認識するのも良いこと」

　監督によれば、三笘には疲労の色が見えたという。ブライトンでの出場時間を確認すると、三笘はフィールドプレーヤー最長の1686分に出場。２試合連続でベンチスタートになったことから、２位のヤン・ポール・ファンヘッケ（1679分）との差は縮まったものの、それでも３位のカルロス・バレバ（1500分）以下の選手には大差をつけての１位だ。

　ブライトンのウインガーには複数の守備タスクが求められており、アップダウンを繰り返す体力も必要とされる。それだけに、サムライ戦士の疲れが蓄積していても不思議ではない。

　そこで、三笘本人に聞いてみた。「アーセナル戦のベンチスタートについて、監督は『疲れが多少あった』と説明していたが、ご自身の感覚としてはどうなのか」と。三笘は次のように話した。

「コンディションは良くも悪くもという感じですが、監督が評価することだと思う。動きが良くなければ交代すると思っています。それは監督が決めること。僕はコンディションをしっかりと戻して、試合に出る準備をするだけです」
 

　起用法を含めて自身のプレーを評価するのは、あくまでも監督。27歳のアタッカーはそう強調していた。

　ただ、アーセナル戦で三笘の代わりに先発したアディングラも決して調子が良いわけではない。ブライトン在籍２年目の23歳のアタッカーは、昨シーズンこそ好調だったが、今シーズンは目に見えて不調。昨シーズンに比べると動きにキレがない。特にアーセナル戦では、２度の決定機を外してしまう大ブレーキだった。むしろ62分に三笘が途中交代で出場してからの方が、チームとして勢いを取り戻した。

　ポジション争いについて、三笘は次のように語る。

「良い競争だと思います。今ずっと勝てていないので、競争の中で結果を出せる選手が試合に出るべきだと思います。それも監督が決めること。自分としては、結果を出せるようにするしかない」

　気になるのは、ベンチ行きを命じられてから、三笘のリズムがどこか狂ったように見えること。日本代表にとって、今は間違いなく正念場である。ここをいかに乗り切るか。

　三笘とブライトンの次戦は、16日に敵地で行なわれるイプスウィッチ戦である。

取材・文●田嶋コウスケ

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