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中村憲剛が語る川崎退任の鬼木達監督への想いと感謝。決して忘れられない“オニさん”からの教えと言葉

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2024年10月29日

現役時代のオニさんの印象は...

2020年、初の大怪我から復帰した初戦でゴールを奪った中村を鬼木監督が笑顔で迎える。ふたりの名シーンは多い。(C)SOCCER DIGEST

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 僕にとってオニさんは先輩であり監督なので、ふたつの側面からエピソードを語りたいと思います。まず先輩として。僕がプロ1年目の2003年からオニさんが引退する2006年まで4年間一緒にプレーしました。

 正直な話、めちゃくちゃ怖かったです(笑)。内容が悪かったり、負けた時などは一目で分かるほどでしたし、チームメートにも厳しい言葉をかけていました。ただ、それも本気で勝ちたい気持ちがそうさせていたと思いますし、個人的にはその熱さに引っ張られるところもありました。

 だからオニさんが監督になってから、ハーフタイムや試合後にこれはブチ切れられるなと思うような時が幾度となくありましたが、そこでキレることはありませんでした。現役時代を知っている身からすれば拍子抜けするほどで、ひとりで何回身構えたことか(苦笑)。なので、監督になってからは、はるかに穏やかな印象でしたね(笑)。

 一方でお茶目で面倒見が良く、相手のことを常に思いやり、人を笑わせようとしてくれる人でもあったので、本当に周囲から慕われていましたし、引退後は指導者になるんだろうなと勝手に想像していたほどでした。
 
 昼食に誘ってもらうことも多く、サッカーの話をたくさんしました。ボランチの動きなども教えてもらい、一緒にピッチに立った際にはその背中からも多くを学ばせてもらいました。自分がセキさん(関塚隆監督)の下でトップ下からボランチにコバートされたプロ2年目、同じポジションにはオニさん、相馬(直樹)さん、ベティ(久野智昭)さん、山根(巌)さんら諸先輩がおり、僕も含めてローテーションのような形で起用されていました。
 
 そのなかで今も忘れられないのが、2004年5月、等々力での京都パープルサンガ戦。僕が初めてボランチとして先発した試合での相棒がオニさんでした。その試合で僕はジュニーニョの決勝点に絡み、1-0での勝利に貢献することができました。

 上位対決でもあったため、そこで初めてボランチとしてスタメン出場した自分が、チームの力になったことは大きな一歩になりましたし、オニさんに支えてもらいながら自信を手にできたことをよく覚えています。その後も2004年はよくボランチでコンビを組ませてもらいました。その意味では、オニさんは「ボランチ・中村憲剛」が出来あがるまでの恩人とも言えるわけです。
 オニさんはその後、多くの怪我に見舞われ、2006年に引退を決断されました。本当に寂しかったです。でも、その後もフロンターレに関わってくれるのだろうなという想いもありましたし、実際にスクールやアカデミーでの指導を経て2010年にコーチとしてトップチームに戻ってきてくれた時は嬉しかったです。
 
 コーチ時代、なかなか監督にぶつけられないような悩みをオニさんにたくさん聞いてもらい、随分と支えてもらいました。2016年にリーグ最年長でMVPを受賞できたのは多くの方のお陰ですが、オニさんの存在も大きかったです。
 
 そしてオニさんがフロンターレの監督になった2017年。風間(八宏/前監督)さんと(大久保)嘉人が去り、周りは新しい船出に不安視する声もありましたが、これまでのオニさんとの経緯も含めて、「この人をなんとかして勝たせたい」と、僕の心は決まっていました。攻撃の部分を前任の風間さんの下で強化し、オニさんの下ではまず守備を整理しようという共通認識もありました。
 
 序盤戦は、新戦力のアキ(家長昭博)、阿部(浩之)ちゃんらとの融合などを含め、負けはしなかったのですが、得点数が減り、勝ち切れない試合が増えるなど苦戦しました。

 それでも徐々に復調し、7月に大雨の等々力で磐田に大敗(●2-5)したあとから、これだったら勝っていけるという手応えを掴めるようになり、最終的に悲願のリーグ初制覇を果たせたのは感慨深い思い出です。これまでのクラブの歩みを知っている分、優勝が決まって抱き合った瞬間のことはいまも鮮明に覚えています。
 
構成●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
後編へ続く
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