少し先に空くはずのスペースを読み取る能力がチャンスを作る。
一方、6日後のユアテックスタジアム仙台では、“キング”の右足は敗戦でなく勝利を呼び込む。「ダービーに多くのパワーをかけていたため、選手たちが仙台戦でどれくらい戦えるのか心配だった」と渋谷洋樹監督が語った重要な一戦で、文字通りの値千金の得点だった。
大宮は前半からボールを支配した。そして迎えた62分、左サイドで和田拓也がスローインを沼田圭悟に入れたところから、勝点3を引き寄せた攻撃がスタートする。
沼田は相手を背負いながら、右サイドから内に絞ってきた横谷にパス。それを右サイドへ展開すると、奥井諒が余裕を持って中央へと折り返した。ペナルティエリア内は3対3。沼田がニアへと飛び込むと、相手の左CB渡部博文がマークについた。さらに瞬間的にスピードを上げたドラガン・ムルジャが、右CB大岩一貴を引き付ける。
家長には、仙台の両CBのスライドに合わせ切れていない右SB蜂須賀孝治の生むスペースが見えていた。迷わずに侵入する。ボールを捉えたのは利き足ではない。しかし、前節・浦和戦と違って、今度は大宮サポーターのワッという盛り上がりがスタジアムにこだました。
「(得点シーンは)奥井選手が良いボールを送ってくれた。自分以外にもエリア内に選手が入ってきたため、相手DFが引っ張られてスペースが生まれていた」(家長)
試合後の監督会見で、仙台の渡邉晋監督は「(家長のケアについて)彼がキープレーヤーなのは痛いほど良く分かっていた。そこに蓋をする練習を積んできたし、もっと自由を奪いたかった」と話した。
大宮の指揮官はゴールそのものではなく、「空いた場所を見つける力がずば抜けている。もしかしたら自由を与えられているように感じるかもしれないが、基本的なポジショニングは伝えているから、そのなかでフリーになれる場所を探して顔を出している」とスペース把握力を称賛した。
浦和戦・23分の決定機も、仙台戦・62分のゴールシーンも、「どこに誰がどう動くのか」を予測して、「自分がどこに入れば決定機を創出できるのか」を高いレベルで分かっているからこそ生まれたもの。少し先のシーンを読み取っているかのようなクオリティの高いプレーだった。
時に自分の庭を闊歩するかのようにゲームを支配する家長が、ふたつの試合で放った“右足”でのふたつのシュート。ひとつはポストに当たって敗北につながり、ひとつはネットに突き刺さって勝利を呼び込んだ。
結果は両極端であったかもしれない。しかし、いずれのシュートも根本に流れるのは、「自分がチームの勝敗を背負う」という強い自負だ。そして、家長がその想いを反映できたならば、勝利は大きく近づく。その先に、首位・川崎と勝点4差で4位につける大宮の第1ステージ制覇があると信じたい。
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
大宮は前半からボールを支配した。そして迎えた62分、左サイドで和田拓也がスローインを沼田圭悟に入れたところから、勝点3を引き寄せた攻撃がスタートする。
沼田は相手を背負いながら、右サイドから内に絞ってきた横谷にパス。それを右サイドへ展開すると、奥井諒が余裕を持って中央へと折り返した。ペナルティエリア内は3対3。沼田がニアへと飛び込むと、相手の左CB渡部博文がマークについた。さらに瞬間的にスピードを上げたドラガン・ムルジャが、右CB大岩一貴を引き付ける。
家長には、仙台の両CBのスライドに合わせ切れていない右SB蜂須賀孝治の生むスペースが見えていた。迷わずに侵入する。ボールを捉えたのは利き足ではない。しかし、前節・浦和戦と違って、今度は大宮サポーターのワッという盛り上がりがスタジアムにこだました。
「(得点シーンは)奥井選手が良いボールを送ってくれた。自分以外にもエリア内に選手が入ってきたため、相手DFが引っ張られてスペースが生まれていた」(家長)
試合後の監督会見で、仙台の渡邉晋監督は「(家長のケアについて)彼がキープレーヤーなのは痛いほど良く分かっていた。そこに蓋をする練習を積んできたし、もっと自由を奪いたかった」と話した。
大宮の指揮官はゴールそのものではなく、「空いた場所を見つける力がずば抜けている。もしかしたら自由を与えられているように感じるかもしれないが、基本的なポジショニングは伝えているから、そのなかでフリーになれる場所を探して顔を出している」とスペース把握力を称賛した。
浦和戦・23分の決定機も、仙台戦・62分のゴールシーンも、「どこに誰がどう動くのか」を予測して、「自分がどこに入れば決定機を創出できるのか」を高いレベルで分かっているからこそ生まれたもの。少し先のシーンを読み取っているかのようなクオリティの高いプレーだった。
時に自分の庭を闊歩するかのようにゲームを支配する家長が、ふたつの試合で放った“右足”でのふたつのシュート。ひとつはポストに当たって敗北につながり、ひとつはネットに突き刺さって勝利を呼び込んだ。
結果は両極端であったかもしれない。しかし、いずれのシュートも根本に流れるのは、「自分がチームの勝敗を背負う」という強い自負だ。そして、家長がその想いを反映できたならば、勝利は大きく近づく。その先に、首位・川崎と勝点4差で4位につける大宮の第1ステージ制覇があると信じたい。
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)

5月26日発売号のサッカーダイジェストは、オーバーエイジ特集。果たして、リオ五輪のオーバーエイジ候補は誰なのか? 本命、対抗、大穴で予想してみました。またU-23日本代表企画では「残り15枠を巡るサバイバル」に迫り、6月復帰予定の室屋選手(FC東京)にインタビュー取材。クラブダイジェストでは、J2で好調の札幌を取り上げています。