【プレミア現地コラム】ヴェンゲル体制はいつまで続くのか?

カテゴリ:連載・コラム

山中忍

2016年05月19日

新たに3年契約が結ばれる?

最優先すべき強化ポイントは、膝を痛めたウェルベックが来シーズンの開幕に間に合わず、ジルーもエースとしては心許ないCF。ユベントスのモラタ(写真)などが新戦力の候補に挙がる。 (C)Getty Images

画像を見る

 無論、来シーズンに開幕から躓けば、ふたたびムードが悪化しかねない。心強いのは、ヴェンゲル自身が早くも補強の構えを見せている点だ。育成と経営への配慮から「買い控え」を続けてきた指揮官が、「新戦力3名の獲得が妥当」と発言。チームを縦に貫く背骨の強化が目的となる。
 
 最優先は前線の補強だ。膝を痛めたダニー・ウェルベックの長期離脱(全治9か月)が仮になかったとしても、16ゴールを挙げたオリビエ・ジルーがチーム最多得点者というCFは、やはり心許ない。
 
 アストン・ビラ戦ではハットトリックを飾ったとはいえ、格下をいたぶることはできても強豪相手の試合で“消えてしまう”と評されるジルー。難しいゴールを決める一方で簡単なシュートを外す癖もあり、ウェストハムとの開幕戦(0-2)で逃した二度の決定機をはじめ、逸したゴールは10点台に達するだろう。

 次に優先順位の高い補強ポイントはCB。中盤中央には最終節でスタメンに復帰したジャック・ウィルシェアとサンティ・カソルラを含めて駒数があるものの、最終ライン中央は人材不足が明らかだ。
 
 ウェストハムに雪辱を果たし損ねた32節(3-3)、接触を恐れるかのように距離を空けてアンディ・キャロルにハットトリックを許した4バックには、強さと高さ、そして勇気と集中力を備えた新CBが必要だ。
 
 はたして来シーズンはヴェンゲル体制最後の年になるのか、噂どおり新たに3年契約が結ばれるのか? いずれにしても、アーセナルが果敢に優勝を狙うのは間違いない。
 
 先頭に立つ指揮官が言っている。「後方の18チームは羨むだろう。だが、われわれは不満だ。2位ではなく、1位でシーズンを終えたい」と。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。

【関連記事】
“超偏愛”4コマ漫画「COME ON YOU ARSENAL!」最終回:快勝したが、ファンはさすがに「終わり良ければすべて良し」という雰囲気には…
【15-16プレミアリーグ】ベスト11を独自セレクト!レスターから最多5人を選出!
【移籍専門記者】ナポリのCBクリバリをバイエルン、チェルシー、マンUなどが争奪!
【EL決勝|採点&寸評】黒子からヒーローになったコケがMOM! 戦犯はコウチーニョだ
ミラン番記者の現地発・本田圭佑「リトル・ホンダが薦めたクラブとはいえ、さすがに愛想を尽かしても不思議はない」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ