メッシは序盤戦に負傷して一時的に戦列を離れているし、ネイマールはやや好不調の波があった。

　一方のスアレスは、シーズンを通して安定したパフォーマンスを見せた。メッシ、ネイマールというバルサきってのスターを脇役に見せてしまうほど、今シーズンのスアレスは目立っていたのである。

　この８年で６度目となるリーグ優勝を達成したバルサは、最大の目標であったチャンピオンズ・リーグ２連覇という夢は成就できなかった。

　覇権を奪還すべく、バルサは来シーズン、補強に打って出るだろう。しかしＬ・エンリケが監督を続ける限り、スアレスのポジションが誰かに奪われるとは考えにくい。

　ゴール、アシスト、プレスのスイッチという３つの顔を持つスアレスは、入団２年目にして文字通り代えの利かない存在になったのである。

【著者プロフィール】
豊福晋／1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、４か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。