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昌平に初の日本一をもたらした玉田圭司の情熱。就任1年目の新米監督が選手たちと築いた深い絆【総体】

カテゴリ:高校・ユース・その他

松尾祐希

2024年08月04日

訴えかける言葉もメッセージ性と熱がある

決勝では劇的な逆転勝ち。玉田監督のもと、ゴールに向かう姿勢がグッと強まった印象だ。写真:滝川敏之

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 その一方でサッカーの厳しさも子どもたちに伝えてきた。「常に情熱を持っているし、毎週のように自分たちのために関わってくれるんです」(鄭)。楽しむだけではなく、勝負にこだわるマインドや球際で戦うスタンスを浸透させてきた。サッカーの原理原則に基づき、“ゴールを奪う”、“ゴールを守る”という部分を練習から徹底。それは普段のメニューにも表われている。

 リーグ戦で無得点に終わった翌週は、ゴール前の崩しやフィニッシュに重きを置いたトレーニングを実施。相当な熱量で声をかけ、自らデモンストレーションを行なう時もあった。今までの昌平であれば、“巧さ”があっても得点を奪えない。そんなシーンも目立っていたが、今大会も含めて今季はゴールに向かう姿勢がグッと強まった。

 また、子どもたちに訴えかける言葉もメッセージ性と熱がある。神村学園との決勝でも心に訴えかける場面があった。後半の半ば過ぎに取られたクーリングブレイク中の出来事だ。

 1-1で迎えたが、旗色は芳しくない。特に左ウイングの長と右ウイングの山口豪太(2年)は積極性を欠き、仕掛けの意識が薄れていた。そこで指揮官は発破をかけたという。
 
「豪太と璃喜には相手の14番(名和田我空)と比較させてもらい、14番は素晴らしいけど、お前らもそれくらいの存在にならないといけないぞ」

 気持ちに働きかけるだけではなく、具体的なメッセージと心をくすぐる言葉でモチベーションを上げる。玉田監督のカラーが滲み出ているシーンだった。

 優勝が決まった瞬間、玉田監督の目には涙があった。「歳のせいかな」とおどけるが、子どもたちとともに掴んだ優勝は特別だった。

「大会を通じて成長したところは、本当に球際や戦う姿勢。テクニックや技術だけでは勝てなかった。それは選手たちが感じてくれて実行してくれたと思う」(玉田監督)

 楽しさと厳しさ。サッカーに不可欠な要素を融合させた新米監督は「(本田さんの気持ちは)いまだにイメージできない」と監督業の難しさについて苦笑いを浮かべたが、初優勝の裏には玉田流のアプローチと信念があった。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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