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渡欧3年目を終えた二田理央は今、何を思うか。悔しさも、手応えもあった。「自分が本当にやりたいことも捨てちゃいけない」【インタビュー】

カテゴリ:海外日本人

浅田真樹

2024年06月05日

「今の自分は理想の自分とは違う」

サイドアタッカーとして評価されているが、フォワードへのこだわりは強い。「そのポジションこそが、自分の生きる場所なんじゃないかなって思っているんです」。写真提供:エースポーツクリエイション

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――オーストリアで3シーズンを過ごしてみて、ヨーロッパにいることの価値をどんなところに感じますか?

 今季に限らず、前から思っていたことですけど、自分のことを知り、自分のために費やす時間が多くなったところだと思います。今季は自分のコンディショニングをより意識するようになりましたし、特に食事とか、睡眠とか、疲労回復のところを意識するようになりました。気持ちの面でも、ひとりで海外にいるとストレスも感じますけど、そういう変化に気づけるようになったのは良かったと思います。

――このところ、ヨーロッパへ渡る20歳前後の選手も増えてきました。彼らの存在を意識しますか?

 自分はあまり周りと比べたりしないので...別に「周りが活躍しているから、オレも頑張らないと」って思ったりもしないですし、あまり気にしていないですね。ホント、自分のことしか考えていないので(笑)。

――先ごろ、行なわれたU-23アジアカップでは日本が優勝しました。同世代の選手が国際大会で活躍していることについてはどうですか?

 試合は見られなかったので、あとでハイライトなどを見ていました。もちろん、自分もそこに行きたいなっていう気持ちはありますけど、でも、今の自分の結果では無理だよなっていうのも分かっています。

 だから、常にどうやったらそういうレベルに自分が行けるのかを考えつつ、まずはチームで結果を残さないといけないなと思っています。ただ、今は自分の中で、自分が日本代表でプレーすることがイメージしづらいというか...。

――というと?

 正直なことを言うと、自分は1トップや2トップのフォワードとして戦いたいっていうのがあるので。今(ザンクト・ペルテンで)出ているのはサイドやトップ下なので、もっとゴールに近いところで勝負したいなって思っています。やっぱり代表でやるからにはフォワードで出るのが理想なので、今の自分は理想の自分とは違う、というのがあるんですよね。
 
――本当はザンクト・ペルテンでも、フォワードで試合に出たい。

 そうですね。今季はフォワードで1試合も出られていないので、試合を見ながら、「オレがフォワードだったらな」みたいなことを考えることもありました(苦笑)。でも、自分にとっては、こういう時期も大事なんだろうなって思っています。

 高校の時も、高2まではずっと右サイドハーフをやっていて、当時は不満もあったんですけど、今となってはその経験が生きているなって思うので。実際、今のポジションで見つける課題は自分の伸びしろだと思っていますし、ずっとフォワードだったら、その課題は見つけれなかっただろうし、できないことはできるようになるに越したことはない。

 だから今、自分が置かれているポジションで課題が見つかったら、それを克服しつつ、自分が通用している部分はもっと伸ばす。それを続けていきながらも、自分が本当にやりたいことも捨てちゃいけないなとは思っています。

――そこにはフォワードをやれるという自信もあるのですか?

 高3の時や、こっち(オーストリア)での最初のシーズンを経験して、やっぱり自分はフォワードだなっていう気持ちがすごくありますね。それに今は、ポストプレーで相手を抑えるフィジカルとか、当時はなかったものを持っていると思うので、そういうことも含めて、やってみたいなっていうのがあります。

――具体的にフォワードでプレーするイメージも持っているわけですね。

 フィジカル面は結構、成長したなと思っていて、実際、右サイドでプレーしていても相手を背負うことがあるんですけど、そこでも負けることなく、相手を抑えてボールをつなぐことができる。それをワントップでやるとしたら、相手を抑えて反転すれば、自分のスピードならそのまま勝てるなって思うので。そのポジションこそが、自分の生きる場所なんじゃないかなって思っているんです。

――今は主にサイドアタッカーとして腕を磨きつつも、いずれはフォワードを目ざす、と。

 たまに(チームが基本のワントップではなく)ツートップにすることもあったんですけど、それでも(自分はフォワードとしては)出られなかった。自分はサイドで1対1を仕掛けたり、背後を突いてクロスを上げたりする、サイドアタッカーとして評価されているんだと思います。

 そこで良いプレーをすることで、見に来てくれているサポーターの人からも、「リオ、仕掛けろ!」みたいな感じで声をかけられたりもしますし。もちろん、それはそれで自分の武器ではあると思うんですけど...でも、やっぱりフォワードでやりたいなっていうのはありますね、ホントに(笑)。

取材・構成●浅田真樹(スポーツライター)

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