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「ドイツは負けるべくして負けた」日本の急成長を実感する広島のスキッベ監督が、両国を冷静に客観視「世界トップに引けを取らない」とリスペクトも

カテゴリ:Jリーグ

元川悦子

2024年04月20日

「日本の素晴らしいところは...」

カタールW杯に続き、昨年9月の親善試合でも日本はドイツに勝利。スキッベ監督も「大きく進化を遂げた」と称賛する。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 とはいえ、日本も世界トップ・オブ・トップのタレントがズラリと並んでいるわけではない。ドイツもタフに戦えるFW、世界超一流クラスのDFの不足が課題となっている。両国ともにやるべきことは数多くあると指揮官は見ているようだ。

「ドイツ代表の現状を簡単に言うと、攻撃陣にはザネ、ムシアラ、ニャブリ、イルカイ・ギュンドアンと良い選手が揃っていますが、マッツ・フンメルスのように全盛期を過ぎている選手、ニクラス・ジューレのように世界トップから少し距離のある選手が中心になっていて、やはり物足りなさは拭えません。前も後ろも珠玉のタレントが揃う状態というのは、なかなか作れない。今は本当に難しい時期なのかなと思います。

 日本の方は森保(一)監督がアクティブでオフェンシブなサッカーをしていますし、それをチーム全体が共有し、一体感を持って戦えるのが強みだと思います。2022年のワールドカップではドイツだけでなく、スペインやクロアチアにもオフェンシブに挑み、互角以上にやり合った。そこは大いに評価されるべきでしょう。

 タレント的な価値も上がっています。前日、アジアサッカー連盟のコーチング会議にオンラインで出席した際、トッテナムのアンジェ・ポステコグルー監督と話す機会があったのですが、『日本人の能力の高さを確信し、勝つためにセルティックに複数の選手を連れて行った』と言っていました。

 堂安(律)や浅野(拓磨)にしても、ドイツでコンスタントにプレーしていますし、遠藤航もリバプールで出場機会を得ている。ただ、全員が世界超一流というわけではありません。そういう意味では全体を底上げし、個々のさらなるレベルアップを図っていくことが今後の課題かなと私は考えます」

 冷静に両国を客観視するスキッベ監督。彼は日本という異国に身を投じ、広島を率いるなかで、改めて確固たる前進を実感しているに違いない。

「日本の素晴らしいところは、Jリーグユースからそのままトップに上がる選手、高校サッカーからプロ入りする選手、大学を経由する選手、J2・J3などのレンタル移籍を経験する選手と、多種多様な育成ルートがあること。様々な環境から育ってくる選手がしのぎを削るのはポジティブなことだと捉えています」としみじみと語る。
 
 広島というクラブを取ってみても、かつては同じ94年生まれの野津田岳人と浅野という育成過程の異なる2人が同期入団で競い合っていたし、満田誠と川村拓夢も同様だ。選手を大きく伸ばせる育成力とスカウト力には、スキッベ監督も太鼓判を押す。

「サンフレッチェは育成・スカウトの部分で日本のトップクラブだと思います。たとえば、中野就斗と山﨑大地という2023年に加入し大きく成長した2人を見ても、中野は(桐生第一)高校から(桐蔭横浜)大学を経由してウチにスカウトされた人材で、山﨑はユースから(順天堂)大学に行って戻ってきた選手。マコと同じルートを辿っています。

 それぞれが異なる道を歩みつつ、それぞれに努力を重ね、今は良い形で切磋琢磨できている。それは本当に素晴らしいことですし、成長の原動力になっている。広島はそういうクラブだから私のような育成に長く携わった指導者を呼んだのでしょうし、私自身もやりがいを感じている。初めて日本に来てから約30年後にここで働くことができて、本当に充実にしています」

 今ではドイツビールよりも日本のビールの方をより好むという指揮官は、心から日本サッカーをリスペクトし、持てる経験値を注ぎ込もうとしている。こうした献身的な姿勢は必ず選手・スタッフ・サポーターに伝わるはず。ここからの広島がより一層、楽しみになってきた。

※第2回終了(全3回)

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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