伊東のほうも「イラク戦の前半は、何回かオーバーラップを使った崩しはありましたけど、前はもっとユキからスルーパスを受けられていた。そういうところは消されているなと感じますけど、その分、他が空いてくる。素早く逆サイドに変えたり、中を使ったりできればというところで。そこを使っていけば、攻めの形は作れる」と、２人の関係性にとどまらない多彩な連係を見せる必要があると感じている様子だ。

　イラク戦の前半であれば、FWの浅野拓磨（ボーフム）、トップ下に入った久保建英（レアル・ソシエダ）、右ボランチの遠藤といった近くにいる選手たちとより距離感を良くし、連動しながらギャップを突いていくことを考えなければいけない。

　伊東や久保には確実に２枚のマークがついていたが、その分、誰かが空いていたはず。そこを有効活用できなかったからこそ、攻め手がなくなったのだ。

「11月のシリア戦ではもっとコンビネーションで崩せていた。全体的にディフェンスラインと中盤とフォワードの距離が広くなっていたと思いますし、その分、コンビネーションも少なくなった」と伊東も反省点を口にしていた。

　そこを早急に改善し、点の取れる形を作っていかなければ、アジア制覇の夢は幻となってしまう。今こそ、自分たちがやるべきことを明確にして、ピッチ上で表現すべきなのだ。
 

　おそらくインドネシア戦はイエローカードをもらっている伊東と菅原は先発を外れるだろう。堂安律（フライブルク）と毎熊晟矢（C大阪）のコンビに命運を託して、伊東＆菅原は決勝トーナメント以降に照準を合わせ、迫力ある攻撃を取り戻さなければならない。

　その段階になれば三笘薫（ブライトン）が完全復帰する見込みで、右サイドの負担は減るかもしれない。こうした追い風も活かしつつ、敵の徹底マークをかいくぐる迫力と推進力を示すこと。そうなれば、必ずゴールに直結する仕事ができるはずだ。

「自分が得点に絡まないとチームの得点数が減る。やっぱりゴールやアシストを作り出さなきゃいけない」と、カタールW杯のアジア最終予選の終盤に４戦連続得点で日本を救った伊東は、神妙な面持ちでコメントしていた。それを菅原がしっかりとお膳立てし、攻守両面で圧倒的な存在感を示すことが肝要だ。

　日本の“黄金の右サイド”が再び輝きを取り戻すように、伊東と菅原には原点回帰を図ってほしいところ。特にアジアカップ初参戦の菅原は本来の自分自身を取り戻すことに集中してもらいたい。

取材・文●元川悦子（フリーライター）

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