イラク戦の２つ目のポイントは、セットプレーの守備。ご存じの通り、ベトナム戦では２つのリスタートから２失点を食らっている。

　両方に絡んだ遠藤は「最初のコーナーキックに関しては１枚マークが浮いていたので、自分が２枚見る形になって、結局、マークにつききれなかった。２点目も（鈴木）彩艶（シント＝トロイデン）とも映像を見て、どうすべきだったかを話し合っています」と反省点を明確にしていた。

　そのうえで「今はセットプレーを戦術的に落とし込んで１点を取ろうとしているチームが増えている」と強調。「ロングスローも含めて重要性をみんなが分かっているので、準備はしっかりする必要があると思います」と、よりこだわりを持って取り組んでいくという。

　リスタートからの失点がなくなれば、日本の優勝確率は自ずと上がる。もちろんカウンターも警戒しなければならないが、「良い守備から良い攻撃」という森保ジャパンの原則を確実に遂行できれば、そこまで危険な展開にはならないだろう。
 

　そして３つ目のポイントは、前回の失敗をプラスにできるかだ。特にベトナム戦で精彩を欠いた鈴木や細谷真大（柏）ら若手は良い意味での割り切りが必要。ここまで数々の挫折に直面してきた遠藤や南野には言えることがあるはずだ。

「僕らリオ組も今の代表にしぶとく残ってますね（笑）。五輪の頃は結果を残せなかったけど、いろんなキャリアを積んで、年齢が上になった今、チームを引っ張らないといけなくなっている。勝っても負けても大会の経験というのは間違いなく無駄にはならない。ポジティブに変換して、今後のキャリアに活かしていくところは選手次第だと思います」と、遠藤は含蓄のある物言いをした。

　全員が前向きなマインドになれれば、必ず良い試合ができるだろう。イラク戦はメンバー変更が有力視されるため、遠藤自身がスタートからピッチに立つかどうか分からないが、キャプテンが掲げた“３か条”をチーム全体がしっかりと守り、危なげない試合運びを見せること。そこを徹底してほしいものである。

取材・文●元川悦子（フリーライター）

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