ベテランの域に差し掛かった際だが、彼にとってはまだキャリアの折返しなのだ。今回のチーム探しで何を重視したのか問われると、彼はこう答えた。

「29歳。ここからです。日本人はここから脂ののってくる選手がいる。外国の選手と違って、ここから身体が良くなってくる選手もいる。逆に外国の選手は『29歳だからお金を取りに行きなよ』と言う。選択肢はいっぱいあると思うんですが、この５か月があったからこそ魅力的で、毎日行きたいな、プレーをしっかりしたいな――と思える場所を選ぶことを念頭に置きました」

　NECは小川航基、佐野航大、ファン・ウェルメスケルケン際と瞬く間に３人もの日本人選手を抱えるクラブになった。

「変な感じですね（笑）。僕は10年もオランダにいるので、オランダ語でも英語でもみんなと話をしているので、僕は変わらない。だけどいきなりまた日本人がチームに来たことで航基と航大が変な感覚なんじゃないですかね。彼らは頑張って英語を喋ったりしているので、自分はその妨げにならないように生活しています。彼らにとって重要なことだと思いますので」
 

　若い頃から際はオランダ国外でプレーすることを目ざしていた。そして今もその気持ちは変わらないという。まずは今季、NECで精一杯力を尽くす。

「１部リーグの中で上位に入っていけるようにチームを組み立ている。そういうチームに関わることは大きいし、そこで自分の経験を活かしたい。シレッセンや、心臓発作が出ちゃいましたけれどドストといった本当に良いベテラン選手がいるので、彼らとコミュニケーションを取りながらチームをまとめて、いい結果を残したいです」

取材・文●中田 徹

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