自身の真骨頂も語る
もっとも瀬川の進化とは裏腹に、川崎は苦しい状況に置かれている。天皇杯こそPK戦までもつれた新潟戦を制すなど4強に進出したが、リーグ戦は7月22日から6戦未勝利(2分4敗)も経験。覇権奪回のチャンスからは大きく後退した。
そんなチーム状況は瀬川の目にどう映るのか。加入1年目のフレッシュな立場だからこそ見えるモノもあるのだろう。「これは自分の一意見です」と前置きしたうえで、今のチームに必要な要素を答えてくれた。
「守備だと思います。それは取り組んでいないという意味ではなくて、もっと守備を楽しめたら良いなと感じるんです。攻撃は改めてクオリティは高いですし、川崎は2点を取られたら3点を取って勝てば良く、それが実際にできるチームです。ただ、その反面、攻撃ばかりと言ったら語弊がありますが、そのマインドが良い意味でも悪いでも働いている面はあるのかなと。
相手より点を取れば勝てますし、こだわるべきですが、それがあったうえで、同じくらい守備も楽しんでやれれば良いなと思います。
早くボールを取りたくて、ガーっといく場面がある。相手を押し込むために即時奪回は大事です。ただ、周りのチームも年々上手くなっていて、僕らのどこが空くかはスカウティングされている面もある。一方で、1試合を通じて、ミスマッチは絶対に起こるもので、そこをいかに消せるか。それって人より走ったり、わざとボールにいかなかったり、守備の駆け引きのなかで埋めていけるものだと僕は考えています。
そうした要素を通じて、チームで守備をすること、チームでボールを取ることに、より楽しさを感じられたら良いなと。それは、僕がかつて守備戦術を多く取り入れていたチームに所属していたからこそ出た意見なのかもしれません。川崎では第一は攻撃なので、自分のマインドを変える必要もあります。
改めてですが、ボールを取られずにゴール前に運んで、2、3点取って勝つ。それが川崎の理想であり、ベースです。
でも、それが上手くいかず、点を取れない試合もある。点を取れないと、ジリジリ相手に流れを持っていかれてしまうことが往々にしてあるので、そうさせないためには、守備でもしっかり頭を使わなくちゃいけない。
身体を張るとか、1対1で負けないということはオニさん(鬼木達監督)も強調してくれていて、そこをより自分たちで噛み砕きながらコミュニケーションを図って共有したいですね。川崎の選手たちは能力が高いからこそ、やったら絶対にできるんですよ」
そんなチーム状況は瀬川の目にどう映るのか。加入1年目のフレッシュな立場だからこそ見えるモノもあるのだろう。「これは自分の一意見です」と前置きしたうえで、今のチームに必要な要素を答えてくれた。
「守備だと思います。それは取り組んでいないという意味ではなくて、もっと守備を楽しめたら良いなと感じるんです。攻撃は改めてクオリティは高いですし、川崎は2点を取られたら3点を取って勝てば良く、それが実際にできるチームです。ただ、その反面、攻撃ばかりと言ったら語弊がありますが、そのマインドが良い意味でも悪いでも働いている面はあるのかなと。
相手より点を取れば勝てますし、こだわるべきですが、それがあったうえで、同じくらい守備も楽しんでやれれば良いなと思います。
早くボールを取りたくて、ガーっといく場面がある。相手を押し込むために即時奪回は大事です。ただ、周りのチームも年々上手くなっていて、僕らのどこが空くかはスカウティングされている面もある。一方で、1試合を通じて、ミスマッチは絶対に起こるもので、そこをいかに消せるか。それって人より走ったり、わざとボールにいかなかったり、守備の駆け引きのなかで埋めていけるものだと僕は考えています。
そうした要素を通じて、チームで守備をすること、チームでボールを取ることに、より楽しさを感じられたら良いなと。それは、僕がかつて守備戦術を多く取り入れていたチームに所属していたからこそ出た意見なのかもしれません。川崎では第一は攻撃なので、自分のマインドを変える必要もあります。
改めてですが、ボールを取られずにゴール前に運んで、2、3点取って勝つ。それが川崎の理想であり、ベースです。
でも、それが上手くいかず、点を取れない試合もある。点を取れないと、ジリジリ相手に流れを持っていかれてしまうことが往々にしてあるので、そうさせないためには、守備でもしっかり頭を使わなくちゃいけない。
身体を張るとか、1対1で負けないということはオニさん(鬼木達監督)も強調してくれていて、そこをより自分たちで噛み砕きながらコミュニケーションを図って共有したいですね。川崎の選手たちは能力が高いからこそ、やったら絶対にできるんですよ」
確かに今季の川崎は27試合終了時点で、ゴール数はリーグ7位の「35」にとどまる一方、失点数はリーグで6番目に多い「36」を数える(4チームが同数)。
世代交代を進めるなかで、ベクトルは常に前を向くが、ゴールを奪い切れずに、守備も耐え切れない試合も多い印象だ。そんな状況において瀬川の能力は生きるに違いない。自らの真骨頂をこう説明する。
「ゴール、アシストを取りにいく。そこは自分にマストで課しています。それ以外で言うと、誰かがサボっても良い選手になりたいですね。要するに自分ひとりがいることで、誰かひとりがサボれるようになって欲しい。
チームには(レアンドロ・)ダミアン、マルちゃん(マルシーニョ)、アキさん(家長昭博)ら、絶対に前にいたほうが良い選手がいる。彼らに他のところで体力を使わせるくらいなら、俺がふたり分走って、エネルギーを溜めておいて良いよと言えるくらいのプレーヤーになりたい。
例えば4-4-2の左サイドハーフに自分が入ったら、右のサイドハーフは前に残ってもらうイメージ。残りの3枚で絞るから前に残っていてねと。実際にレイソルの時もそうで、自分が左で、右がクリス(クリスティアーノ)だったので、自分が戻ったほうがチームのプラスになる。もちろん全員で戻る時だって必要ですよ。だから最低限の守備をしてもらいつつ、残りの分を自分がやる。そういうマインドでサッカーをできるのが自分の強み。
自分からしたら、今の川崎ではシン(大卒ルーキーFWの山田新)も前線に残っていてほしい選手。あいつは動けて様々なタスクをこなせるから広範囲に走っているけど、もっと攻撃に体力を使っても良いのかなと。シンを含めて何人かの名前を出しましたが、要は個々が本来最も輝く場所で能力を生かして欲しいということです。
僕はそうやってみんなの分を走りながら、もちろんクオリティを上げなくてはいけない。それに、ひとり戻ってチームを助けられたらなんだか格好良いじゃないですか(笑)。そういうマインドも大事だなと。だから、自分のことばっかり考えているんですよ。それがチームのためになればと思って。
実際にチームのために戻ったら、俺、評価されるよなとか、自分本位ですよ。そこはゴールと一緒。ゴールを貪欲に狙って実際に奪えればチームのためになる。そのマインドでいつも走っています。個々の利益がチームの利益につながれば良い。だから自分のことばっかり考えていると言えば、そうなんですよ」
そう苦笑いをする瀬川だが、彼のような献身的で“守備の頭”を持ったアタッカーも珍しい。さらに多くの後輩たちから慕われる明るい性格も魅力だ。
苦境が続く川崎で、瀬川のような良い意味での“異分子”は貴重である。その意味で彼が今後、川崎に何をもたらすのか非常に興味深い。
周囲の友人からは「最近上手くなったな、なんて言われるんですよ」と改めて笑顔を作る。
インタビューの冒頭、リーグ初先発に特別な感情はなかったと話していたが、こうも振り返っていた。神戸戦の前の試合、G大阪戦で瀬川は後半開始から出場し、2ゴールを奪っていた。
「ガンバ戦の2点は、たまたま転がってきた形。でも、それまでの積み重ねが大事で、言うなれば何もしていなくての2発だったら何も変わっていなくて、その前から少ない時間でもちゃんとアピールできていたからこそ、つながったと思うんです。オニさん(鬼木監督)はそういうところをしっかり見てくれていますし、だからこそスタメンじゃなくても目標をもってやれている。改めて今年は良いマインドで臨めています」
どんな時も前を向く。そして選手としての幅を広げ続ける彼の新たな歩みには注目だ。
前編はこちら
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
世代交代を進めるなかで、ベクトルは常に前を向くが、ゴールを奪い切れずに、守備も耐え切れない試合も多い印象だ。そんな状況において瀬川の能力は生きるに違いない。自らの真骨頂をこう説明する。
「ゴール、アシストを取りにいく。そこは自分にマストで課しています。それ以外で言うと、誰かがサボっても良い選手になりたいですね。要するに自分ひとりがいることで、誰かひとりがサボれるようになって欲しい。
チームには(レアンドロ・)ダミアン、マルちゃん(マルシーニョ)、アキさん(家長昭博)ら、絶対に前にいたほうが良い選手がいる。彼らに他のところで体力を使わせるくらいなら、俺がふたり分走って、エネルギーを溜めておいて良いよと言えるくらいのプレーヤーになりたい。
例えば4-4-2の左サイドハーフに自分が入ったら、右のサイドハーフは前に残ってもらうイメージ。残りの3枚で絞るから前に残っていてねと。実際にレイソルの時もそうで、自分が左で、右がクリス(クリスティアーノ)だったので、自分が戻ったほうがチームのプラスになる。もちろん全員で戻る時だって必要ですよ。だから最低限の守備をしてもらいつつ、残りの分を自分がやる。そういうマインドでサッカーをできるのが自分の強み。
自分からしたら、今の川崎ではシン(大卒ルーキーFWの山田新)も前線に残っていてほしい選手。あいつは動けて様々なタスクをこなせるから広範囲に走っているけど、もっと攻撃に体力を使っても良いのかなと。シンを含めて何人かの名前を出しましたが、要は個々が本来最も輝く場所で能力を生かして欲しいということです。
僕はそうやってみんなの分を走りながら、もちろんクオリティを上げなくてはいけない。それに、ひとり戻ってチームを助けられたらなんだか格好良いじゃないですか(笑)。そういうマインドも大事だなと。だから、自分のことばっかり考えているんですよ。それがチームのためになればと思って。
実際にチームのために戻ったら、俺、評価されるよなとか、自分本位ですよ。そこはゴールと一緒。ゴールを貪欲に狙って実際に奪えればチームのためになる。そのマインドでいつも走っています。個々の利益がチームの利益につながれば良い。だから自分のことばっかり考えていると言えば、そうなんですよ」
そう苦笑いをする瀬川だが、彼のような献身的で“守備の頭”を持ったアタッカーも珍しい。さらに多くの後輩たちから慕われる明るい性格も魅力だ。
苦境が続く川崎で、瀬川のような良い意味での“異分子”は貴重である。その意味で彼が今後、川崎に何をもたらすのか非常に興味深い。
周囲の友人からは「最近上手くなったな、なんて言われるんですよ」と改めて笑顔を作る。
インタビューの冒頭、リーグ初先発に特別な感情はなかったと話していたが、こうも振り返っていた。神戸戦の前の試合、G大阪戦で瀬川は後半開始から出場し、2ゴールを奪っていた。
「ガンバ戦の2点は、たまたま転がってきた形。でも、それまでの積み重ねが大事で、言うなれば何もしていなくての2発だったら何も変わっていなくて、その前から少ない時間でもちゃんとアピールできていたからこそ、つながったと思うんです。オニさん(鬼木監督)はそういうところをしっかり見てくれていますし、だからこそスタメンじゃなくても目標をもってやれている。改めて今年は良いマインドで臨めています」
どんな時も前を向く。そして選手としての幅を広げ続ける彼の新たな歩みには注目だ。
前編はこちら
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)