怪我をして時間ができたことで、トレーナーと共に上半身を重点的に鍛えた。ただ筋力アップをするのではなく、腕まわりの強さと肩甲骨の可動域に気を配って、相手を抑えて前へのパワーを出せるような身体作りを徹底した。
そして今大会直前に復帰し、丸岡戦が復帰明け初戦だった。二の腕も太くなり、実際に相手をハンドオフで抑え込みながら前に入っていくドリブルも見せた。
復帰前より明らかに足の踏み込みがしっかりして、身体もより前に出るようになったことで、相手にとってはより推進力のある厄介なドリブラーに変貌を遂げつつある。
「出力が上がってきたのが自分でも分かります。相手とのイーブンのシーンで、僕が一歩前に抜け出せるかどうかによって、チームの勢い、結果も変わってくるので、もっとこの出力を上げていきたい」
トップレベルの努力家
次なる相手は徳島市立。守備に定評があるチームだ。当然、安斎は今日の活躍も相まって、キーマンとして要警戒選手として対策を練られるだろう。だが、それも理解のうえで彼はこう語った。
「今年のチームはありがたいことに評価をされて、相手がリスペクトをしてくれていると聞きますが、僕らは全国制覇を１度もしたことがないチーム。王者でも何でもない。だからこそ、チームとしても、僕としてもチャレンジャーの気持ちをずっと持ってやり続けたい。その先に全国制覇があると思っています」
全国トップレベルのドリブラーで、トップレベルの努力家である彼は、自身とチームの悲願に向けて真っ直ぐに前を見据えている。
取材・文●安藤隆人（サッカージャーナリスト）
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