取材した日の練習は、ゲーム中心のプログラムで進められた。観客に挨拶をしたり、円陣を組んだり、作戦会議をしたり、負けている状況でゴールを決めた後、ハーフエリアまでボールを持ってきたりと本格的だ。気付いたのは各コーチの視線がボールではなく、他の選手の動きに向けられていること。彼らの指示のほとんどが“いるべき場所”、“動くべき場所”についてだった。
 
　セラロスコーチは取材の中で「正しいポジショニングを常に意識させている。それを学ぶのに早すぎることはない」と話していたが、子どもたちもしっかり吸収しているようだ。低学年にありがちな、ボールに人が集まってしまう光景や、特定の選手が際立つような光景はいっさい見られなかった。技術的なミスでつながらないこともあったが、選手たちの距離感は“ポゼッションサッカー”を予感させていた。
 
　スタートから約半年、いまはまだ基盤づくりの段階だ。しかし、「選手のレベルや質の向上にどん欲に向き合い、日本のサッカー界にも貢献したい」と、セラロスコーチや『FCBエスコーラ葛飾校』の目標は高い。将来、この葛飾区から翼君のように世界に羽ばたく選手が生まれることをおおいに期待したい。

【スクール情報】
バルセロナサッカースクール　葛飾校
タイムテーブルやプログラム費用についてなどの詳細は下記のホームページで確認。現在は無料体験(トライアウト)も実施しているので、まずは問合せを。
会場：東金町運動場多目的広場
対象：年長～小学６年生
TEL：03-6231-3330（平日11時～17時）
ＨＰ：http://fcbescola-katsushika.jp/
 
取材協力：FCBエスコーラ葛飾校
 
※ワールドサッカーダイジェスト責任編集バルセロナ完全読本『Barca Barca Barca』より抜粋