• トップ
  • ニュース一覧
  • プレーオフ選抜の中村憲剛ヘッドコーチは即席チームをいかにして短期間で“勝てるチーム”にしたのか? 選手たちに伝えた言葉は…

プレーオフ選抜の中村憲剛ヘッドコーチは即席チームをいかにして短期間で“勝てるチーム”にしたのか? 選手たちに伝えた言葉は…

カテゴリ:大学

安藤隆人

2023年03月09日

「みんなに自分という指導者を作ってもらっている感覚」

ベンチでから戦況を見つめる中村コーチ。プレーオフ選抜は見事3位で大会を終えた。写真:安藤隆人

画像を見る

 選手たちはお互いを知らない。Jリーグ内定者もいれば、そうではない選手もいる。バラバラな立場、環境の選手たちが集められて、すぐにハイレベルな戦いに身を投じるためには、いかに彼らに『当事者意識』を持たせられるか。他人事、誰かがやってくれるだろうではなく、いかに自分ごととしてこのチームを捉えられるか。それがチームの芯になると確信した中村氏は、チーム顔合わせの時に次のように選手たちに話をした。

「今回、この21人が1つのチーム。自分がその中の1人であって、勝つか負けるかの鍵を握っているのは君達自身。俺はここで優勝をしたいから、本気でやるぞ」

 この言葉に込められた想いを自身でこう解説する。

「お互いを知らない、何なら僕もみんなを知らない。だからこそ、ここにいる人間が言い訳をしてはいけないんです。なぜここに選ばれているかというと、自分の武器があるから。そもそもこのチームの成り立ちの経緯がプレーオフで負けてきたわけですよ。負けた後に呼ばれて、大阪からここに入っている。悔しい思いもあるけど、それでも呼ばれたのだからやらないわけにはいかないよねと。

 Jリーグの内定をもらっていない選手にとって、この大会は人生変えられるくらいのチャンス。逆に内定をもらっている選手は『やっぱり内定もらえる選手だよね』というのを見せないといけない。頑張らない理由が誰にもないんです」
 
 中村氏はパスやトラップなどの技術のレッスン、そして全体をコンパクトにしてボールの動きをスムーズにさせるアドバイスなど、理論的な指導を着実にしながらも、その都度、経験則に基づいた生きた言葉を盛り込むことで、選手たちの目の色は見違えるように増し、狙い通り、チームにしっかりとした芯が通っていった。

 初戦の東海選抜戦こそ0-2で落としたが、第2戦の関東選抜A戦では攻撃陣が爆発して5-2の大勝、第3戦の日本高校選抜戦も5-3と乱打戦を制し、グループリーグを2位で突破。進んだ3位決定戦でもプレーオフ王者の東北選抜に3-0で快勝し、見事に3位でフィニッシュした。

「もう痺れましたね。みんながゴールや勝利に対して喜ぶし、声かけも含めて一体感を持ってやってくれた。みんな他人事じゃなくて『自分ごと』として参加してくれているからこそだよね。もっとクールだったらこうはならない。あともう1週間、活動すればもっといいチームになるんじゃないかと思うくらいのチームです。僕にとっても大きな学びの機会になりました」

 指導者として着実な経験を積んでいる中村氏。最後にこの経験を踏まえて、これからのビジョンについて聞いてみた。

「指導者だからといってふんぞりかえるわけではないですし、やるのは指導者ではなく選手なので、いかに選手たちが自分と関わって、これを知った、学んだとプラスになるような存在になることができるか。それに僕は野心があって動くのではなく、預かった選手たちを良い選手にして勝ちたい。それだけなんです。自分が監督をやるために彼らを使うのではなく、彼らといることで自分の理想とするものが浮き上がってくるんじゃないかなと。

 そのなかでアプローチだったり、悩み事も日々変わったりするので、それに経験則を合わせながら対応していく。みんなに自分という指導者を作ってもらっている感覚でコツコツやっていきたいと思います」

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

【PHOTO】川崎のバンディエラ、中村憲剛のデビューイヤーからを振り返る!

【PHOTO】日本代表の歴代ユニホームを厳選写真で振り返り!(1992-2022)
 
【関連記事】
福田正博がJリーグの“歴代最強イレブン”を選出!「サッカー小僧」のSB、「ギャップがズルい」努力家をセレクト!
「未知数だった選手が80億円なんてバカげている」三笘薫の価値急騰に英国メディアが驚嘆!今夏の移籍に注目「ビッグ6がサメのように…」
【セルジオ越後】スタメン入れ替えで川崎や神戸が敗戦…ルヴァン杯の価値を軽んじていないか? U-21先発出場義務はアマチュア、部活動の発想だ
ミーティングで厳しい言葉「なんだ、今日の練習の雰囲気は。そんなのでいいのか?」徳永涼が貫いたキャプテンシーで、急造チームは一気にまとまった
J1クラブが争奪戦をしたガンバ内定の関西学院大MF美藤倫。なぜ“憧れの先輩”がライバルとなるチームを選んだのか「複雑な気持ちはありますが…」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ