【大宮】J2優勝はスタートライン。次の目標へ、オレンジは再び昇る

カテゴリ:Jリーグ

土地将靖

2015年11月15日

「まだまだ強くないし、それを改めて感じられたのは良かった」(家長)

ストライカーらしい嗅覚で2得点を含む全得点に絡む活躍を見せたムルジャ。得点ランキングでトップのジェイ(磐田)に1点差に迫った。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 キッカーは家長。「(泉澤)仁が『アキさん、蹴れ』とボールを持って来た。ムルジャも起き上がってこなかったんで、蹴りたくなかったんだろうな」。J2優勝、J1復帰が懸かったPK。そのプレッシャーたるや相当なものだったはずだ。ボールをセットし、主審の笛が鳴ったものの、家長はいったんボールから離れ、天を仰いだ。

「時間帯とシチュエーションを整理しようといろいろ考えていたら『すごい状況やな』と感じた。その後は、腹を決めて蹴りました」。蹴る方向は相手GKに読まれていたものの、しっかりとコースを狙ったキックでボールはネットを揺らし、大逆転に成功した。

 アディショナルタイムを含めた残り約10分間、大分の反撃を凌ぎ切って、大宮はJ2優勝とJ1復帰を手中に収めた。悪くなかった前半、立て続けに失点した後半立ち上がり、そこから大逆転劇を演じた後半終盤と、ジェットコースターのような展開は、まさに渋谷監督が語ったように「良い時と悪い時がはっきりした今季を象徴するゲーム」となった。

 だが、家長はそんなシーズンを「独走で優勝すると自分たちを過大評価してしまう。夏にあれだけ勝点差が離れていたのに、これだけ詰められたのは僕たちの弱さ。今のこの勝点と順位差が本当の実力。まだまだ強くないし、それを改めて感じられたのは良かった」と自戒の念を込めて振り返った。

 渋谷監督は試合後、「大宮はビッグクラブになれる素質を持っている」と自負し、クラブの鈴木社長は試合後のセレモニーで「大宮は今日、新たな歴史をスタートさせた」と挨拶した。大言壮語にも思えるが、「J1ではまたチャレンジャーになると思うし、一から頑張っていきたい」という家長のコメントを鑑みても、ここがスタートラインになることは間違いない。

 過去10年、残留争いに明け暮れたJ1時代とは異なるシーズンを来季見せられるか。大宮の真価が問われるのは、これからである。
 
取材・文:土地将靖(サッカーライター)
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