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「あとは見とけよ」。野心を燃やし続けた田中碧。スペインとの大一番、“持ってる男”の本領発揮【W杯】

カテゴリ:日本代表

元川悦子

2022年12月02日

「彼は『タイミングの良い男』なんですよ」

9月の欧州遠征後に本人を直撃。ドイツで研鑽を積む日々で「できることは増えている」と語っていた。写真:元川悦子

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 日本が崖っぷちに立たされた2021年10月の最終予選・オーストラリア戦でも田中はスタメン抜擢され、チームを勇気づける先制弾を奪っている。のるかそるかの重要局面で大仕事のできる男は本当に強運だ。

 川崎アカデミー時代の恩師・髙崎康嗣監督も太鼓判を押す。

「2017年にトップ昇格した後、先輩の三好(康児=アントワープ)や滉も出番を得られず、レンタルに出されたのに、彼の入った年は、ユース昇格組は碧1人。(中村)憲剛が30代後半に差し掛かり、大島僚太も怪我がちで中盤が手薄になったこともあって、18年以降、少しずつ出られるようになった。彼は『タイミングの良い男』なんですよ」

 田中本人も「僕は自分でも『持ってる』と思っているし、それを隠そうとも思ってない」と自信満々の口ぶりだった。が、もちろん全てが順風満帆だったわけではない。

 最終予選途中から3ボランチの一角で定位置を確保し、遠藤航(シュツットガルト)、守田英正(スポルティング)とともに重要な役割を担ってきた田中だが、9月の欧州遠征2試合で基本布陣が4-2-3-1に戻ってからは、「ボランチの控え一番手」へと序列低下を余儀なくされた。その悔しさは並々ならぬものがあったはずだ。
 
「(欧州遠征でのアメリカ戦とエクアドル戦は)僕のポジションで言えば『AとB(主力とサブ)』という形でしょうし、それはしょうがない。ワールドカップメンバーに入って、出られないで終わるとしてもそれでいい。僕もそれなりの覚悟はできているんで。ただ、あとは見とけよと。それしかないです」と、田中はメラメラと野心を燃やしていたのだ。

 川崎時代はそこまで感情を表に出すタイプではなかったから、その変貌ぶりには驚かされたが、それだけW杯に賭ける思いが強いということ。あれから2か月間、田中は「必ず本番で結果を出してやる」と、虎視眈々とチャンスをうかがっていたに違いない。

 そしてドイツ戦前に守田が負傷。田中は初戦で先発し、歴史的勝利の一員となった。まさかの苦杯を喫した2戦目は出番なしに終わったが、遠藤の怪我も影響したか、再びスペインとの大一番でスタメンが巡ってきた。そこで攻守両面でハードワークし、ワンチャンスをモノにしたのだから、本人も感慨ひとしおだろう。

【W杯PHOTO】魂で押し込んだ!首位通過を大きく手繰り寄せた田中碧を特集!
 
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