【ブンデス現地コラム】見事なV字回復を遂げたボルシアMG

カテゴリ:ワールド

中野吉之伴

2015年10月28日

エーベルSDはシューベルト体制の継続を示唆。

充実ぶりが際立つ右SBのコルプ。シューベルト監督就任後はオーバーラップの頻度が増え、サイド攻撃に厚みをもたらしている。(C)Getty Images

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 シューベルト監督就任後、両SBのタスクも大きく変わった。ファブレ政権下では攻撃は主に左SBのオスカル・ヴェントが担い、右SBのユリアン・コルプは“第3のCB”として守備に専念。攻守のバランスはとれていたものの、右サイドからの攻撃は滞りがちだった。
 
 その課題を、シューベルト監督は見事に修正してみせた。両SBのポジショニングが明らかに高くなり、果敢な攻め上がりが頻繁に見られるようになったのだ。とりわけ充実ぶりが際立つのがコルプで、10節のシャルケ戦では自ら仕掛けてPKを獲得し、さらに終了間際にはタイミングの良いオーバーラップから正確なシュートを叩き込んだ。試合後には手応えをこう口にした。
 
「監督はサイドバックに高い位置でプレーするように求めている。アタッキングサードの崩しにも絡めるし、ボールを奪われてもすぐにプレスにいける」
 
 攻撃的なスタイルを貫くには、守備の安定は不可欠だ。肝となるCBはこれまで様々な組み合わせを試し、いまのところ故障から復帰したアルバロ・ドミンゲスと19歳の新鋭アンドレアス・クリステンセンのコンビで落ち着いている。
 
 スポーツディレクターのマックス・エーベルが高く評価するのがクリステンセンで、「自分の仕事を非常にクレバーにこなしている。試合の展開を読む力、スピード、ビルドアップ、いずれも申し分ない」と手放しの賛辞を送る。
 
 短期間でチームを立て直したシューベルト監督の評価は高まりばかりだ。当初は大物監督の招聘を画策していたエーベルSDも「このままシューベルトに任せる可能性もある。彼はここまで素晴らしい仕事をしている」と語っている。
 
 一時は最下位まで転落するも、現在は7位と好位置につけるボルシアMG。不振から抜け出した彼らの快進撃はどこまで続くのか。これからの戦いぶりに注目だ。
 
文:中野吉之伴
 
【著者プロフィール】
中野吉之伴/ドイツ・フライブルク在住の指導者。09年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの実地研修を経て、現在はFCアウゲンのU-19(U-19の国内リーグ3部)でヘッドコーチを務める。77年7月27日生まれ、秋田県出身。
 

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