【プレミア現地コラム】「愛」に導かれたアラダイスのサンダーランド挑戦

カテゴリ:連載・コラム

山中忍

2015年10月21日

見た目は無骨でも残留という美しい結末のラブストーリー。

アラダイス政権の初陣となったWBA戦の失点は、キーパーチャージが認められず不幸な形によって喫したもの。内容自体は悪くなかった。(C)Getty Images

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 8節終了後に辞任したディック・アドフォカート前監督に「戦力不足」と見捨てられた集団は、選手時代に豊富な経験を積み(サンダーランドでも1年プレー)、指揮官としては「降格知らず」の過去を持つ新監督にすがる様な思いだろう。
 
 実際、選手たちの心はすでに、「前監督の判断は間違いだったと証明したい」と語るアラダイスになびいているようだ。
 
 アラダイス政権の初陣となった9節は、アウェーでWBAに惜敗(0-1)。しかし、国内紙が揃って「アラダイス効果」を認めたように、前節までリーグ最多の18失点を喫していた守備に今シーズン初めて「堅さ」が窺えた。
 
 奪われた1点は、キーパーチャージが見落とされて蹴り込まれたもの。その至近距離からの1本以外は枠内にシュートを打たせなかったのだ。
 
 守備の中心はCBジョン・オシェイ。マンチェスター・Uをお払い箱になった4年前から限界が指摘され続ける34歳だが、ベテラン蘇生も得意とする指揮官の腕の見せ所だ。
 
 WBA戦ではリー・カッターモールとヤン・エムビラという両セントラルMFが最終ラインの手前で防波堤となり、オシェイを支援していた。
 
 アラダイス一行が完成を目指すのは、見た目は無骨でも残留という美しい結末のラブストーリー。ホームでの「第1章」は、奇しくもニューカッスルとのタイン・ウェア・ダービー(10月24日のプレミア10節)だ。
 
 プレミア残留も争う宿敵から今シーズン初勝利をもぎ取れば、新監督とサンダーランドの愛の炎は一気に燃え上がり、降格回避への希望の灯りも明るさを増すかもしれない。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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