ビッグゲームにおいてはこれ以上ない形でゲームを進めるアーセナルとは対照的に、前半は目立ったシーンを作り出せずに折り返したユナイテッドは、後半早々に動きを見せた。
 
　メンフィス・デパイに代えてマルアン・フェライニ、ダルミアンに代えてアントニオ・バレンシアを投入したのだ。これにより、トップ下に入っていたウェイン・ルーニーを左サイドにずらし、トップ下にフェライニを入れ、終始守備に追われていたダルミアンのポジションにバレンシアが入った。
 
　しかし、この交代策がチームを活性化させることはなかった。
 
　フェライニはトップ下に入るも役割がハッキリせず、ゴール前に飛びこむ動きもなく、持ち味の高さを披露する場面はなかった。
 
　また、バレンシアがサイドを駆け上がったのは１度か２度ほどで、クロスは後半に入って守備陣形を整えたアーセナルに、容易に対応されていた。
 
　苦戦を強いられたユナイテッドで唯一可能性を感じさせたのは、エースのルーニーだった。62分には相手が完全に守勢に回ったとみるや、壁をこじ開けようと果敢にミドルシュートを放つ。
 
　これはチェフに弾かれてしまったが、自陣にまで戻ってビルドアップに参加した以外にも、ポジションチェンジをしながらエリア内に入り、得点機を窺うなど、チャンスを生み出そうと懸命な姿勢を見せていた。
 
　しかし、こうしたルーニーの努力も虚しく、ユナイテッドは最後までチェフの牙城を崩すことができず、試合は３-０でアーセナルの快勝で終了した。
 
　試合のポゼッション率が、アーセナルの38パーセントに対して、ユナイテッドが62パーセントと高い数値を残しているのは、スコアからは想像しがたく、いかにアーセナルが少ないチャンスを活かしたかを物語っている。
 
　この勝利でアーセナルは勝点を16に積み上げ、首位のシティに肉薄する２位に浮上。一方、敗れたユナイテッドは、前節で首位に立ったものの、わずか１節で陥落した。