【FC東京】老獪に映った“宇佐美封じ”。森重のテクニカルファウルは値千金だった

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2015年08月17日

宇佐美にはあえて“打たせていた”印象も。

テクニカルファウルで宇佐美を止めた森重。あそこで突破を許していれば失点の可能性が高まっただけに、価値あるブロックだった。写真:サッカーダイジェスト

画像を見る

 前線でドンと構える前田が“静”なら、彼の周辺を衛生的に動いて回るN・バーンズは“動”。相互補完に優れた2トップに、中盤も上手く絡めるようになってきた今のFC東京は第1ステージ序盤の堅守も取り戻した印象で、明らかにチームとしてまとまっている。

 GKの榎本、右SBの松田ら“代役たち”が継続して及第点以上のプレーを見せているのも、チームが好調の要因と言えるだろう。

 
 守備面に関して言えば、G大阪戦では宇佐美への対応が素晴らしかった。4-4-2の左サイドに入った彼を、エリア外ではある程度自由にさせても、エリア内には入れない──。

「ある程度持たせて、近づいてきたところを中盤の選手と挟み込む意識は持っていた」とCBの吉本が言うように、なにふり構わず抑え込むのではなく、要所を締めたディフェンスで封じ込めたのだ。

 
 確かに、宇佐美にはシュートを6本も打たれた。それでも、“打たれた”のはおそらく19分の1本。残り5本はあえて遠距離から“打たせた”印象で、いわばFC東京の思惑通りだったように映った。
 
 結果的にファウルになったが、55分に宇佐美のドリブル突破を止めた森重のブロックはファインプレーだった。

 G大阪に流れが傾きかけた時間帯、センターサークル付近で3人をごぼう抜きしてきた宇佐美を、あそこで止めていなければおそらく失点につながっていた。その意味で、森重のテクニカルファウルは値千金だった。

 
 なかには反則で止めるなんてフェアではない、という見方もあるだろう。ただ、そうした駆け引きもサッカーの醍醐味の一部分であるのもまた事実だ。反則覚悟で止めた森重のブロックは、その十数分後にN・バーンズが決勝点を決めた流れを考えれば、結果的に正解だった。
 
 その森重を累積警告で欠く次節、FC東京はG大阪戦と同じく老獪な試合運びを見せられるだろうか。豊田スタジアムで名古屋を下せれば、第2ステージ制覇への希望がまた一段と膨らむ。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
【関連記事】
【J1採点&寸評】FC東京×G大阪|N・バーンズが1得点1アシスト! 堅守速攻を実践したFC東京がG大阪を退ける
2015 J1 2ndステージ日程【7節~12節】
【J1展望】2ndステージ・7節|FC東京-G大阪|東アジアカップ出場組が味スタで競演。最大の注目は森重vs宇佐美か
マインツ武藤は「ほろ苦デビュー」 チームは昇格組に敗れ黒星発進、自身も見せ場なし
連載|熊崎敬【蹴球日本を考える】カウンターに屈したG大阪の反面教師

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ