宇佐美にはあえて“打たせていた”印象も。
前線でドンと構える前田が“静”なら、彼の周辺を衛生的に動いて回るN・バーンズは“動”。相互補完に優れた2トップに、中盤も上手く絡めるようになってきた今のFC東京は第1ステージ序盤の堅守も取り戻した印象で、明らかにチームとしてまとまっている。
GKの榎本、右SBの松田ら“代役たち”が継続して及第点以上のプレーを見せているのも、チームが好調の要因と言えるだろう。
守備面に関して言えば、G大阪戦では宇佐美への対応が素晴らしかった。4-4-2の左サイドに入った彼を、エリア外ではある程度自由にさせても、エリア内には入れない──。
「ある程度持たせて、近づいてきたところを中盤の選手と挟み込む意識は持っていた」とCBの吉本が言うように、なにふり構わず抑え込むのではなく、要所を締めたディフェンスで封じ込めたのだ。
確かに、宇佐美にはシュートを6本も打たれた。それでも、“打たれた”のはおそらく19分の1本。残り5本はあえて遠距離から“打たせた”印象で、いわばFC東京の思惑通りだったように映った。
結果的にファウルになったが、55分に宇佐美のドリブル突破を止めた森重のブロックはファインプレーだった。
G大阪に流れが傾きかけた時間帯、センターサークル付近で3人をごぼう抜きしてきた宇佐美を、あそこで止めていなければおそらく失点につながっていた。その意味で、森重のテクニカルファウルは値千金だった。
なかには反則で止めるなんてフェアではない、という見方もあるだろう。ただ、そうした駆け引きもサッカーの醍醐味の一部分であるのもまた事実だ。反則覚悟で止めた森重のブロックは、その十数分後にN・バーンズが決勝点を決めた流れを考えれば、結果的に正解だった。
その森重を累積警告で欠く次節、FC東京はG大阪戦と同じく老獪な試合運びを見せられるだろうか。豊田スタジアムで名古屋を下せれば、第2ステージ制覇への希望がまた一段と膨らむ。
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
GKの榎本、右SBの松田ら“代役たち”が継続して及第点以上のプレーを見せているのも、チームが好調の要因と言えるだろう。
守備面に関して言えば、G大阪戦では宇佐美への対応が素晴らしかった。4-4-2の左サイドに入った彼を、エリア外ではある程度自由にさせても、エリア内には入れない──。
「ある程度持たせて、近づいてきたところを中盤の選手と挟み込む意識は持っていた」とCBの吉本が言うように、なにふり構わず抑え込むのではなく、要所を締めたディフェンスで封じ込めたのだ。
確かに、宇佐美にはシュートを6本も打たれた。それでも、“打たれた”のはおそらく19分の1本。残り5本はあえて遠距離から“打たせた”印象で、いわばFC東京の思惑通りだったように映った。
結果的にファウルになったが、55分に宇佐美のドリブル突破を止めた森重のブロックはファインプレーだった。
G大阪に流れが傾きかけた時間帯、センターサークル付近で3人をごぼう抜きしてきた宇佐美を、あそこで止めていなければおそらく失点につながっていた。その意味で、森重のテクニカルファウルは値千金だった。
なかには反則で止めるなんてフェアではない、という見方もあるだろう。ただ、そうした駆け引きもサッカーの醍醐味の一部分であるのもまた事実だ。反則覚悟で止めた森重のブロックは、その十数分後にN・バーンズが決勝点を決めた流れを考えれば、結果的に正解だった。
その森重を累積警告で欠く次節、FC東京はG大阪戦と同じく老獪な試合運びを見せられるだろうか。豊田スタジアムで名古屋を下せれば、第2ステージ制覇への希望がまた一段と膨らむ。
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)