日本人アタッカーと「プレミアの呪縛」 岡崎慎司が成功するために必要なものは?

カテゴリ:ワールド

山中忍

2015年08月15日

香川には信頼を勝ち得るだけの「強さ」がなかった。

マンUで不完全燃焼に終わった香川は、「強さ」が足りなかった。(C) Getty Images

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 一方、12年に中田以上の期待を背にプレミア入りした香川真司は、マンチェスター・ユナイテッドで信頼を勝ち得るだけの「強さ」を持っていなかった。
 
 怪我や監督交代の不運はあった。13年夏に就任したデイビッド・モイーズは、前監督のサー・アレックス・ファーガソンが「アタッキングサードで違いを生み出せる」として獲得した香川に、守備の貢献も要求する指揮官だった。
 
 とはいえ、当人が攻守両面で「弱さ」を見せた感は否めない。苦手の守備に加え、簡単にボールを失う場面がしばしば見られたのだ。
 
 CL8強入りを懸けた14年3月のオリンピアコス戦。持ち味は似ているが格上のファン・マヌエル・マタが出場できなかった試合で、香川を差し置いて「馬力」のあるダニー・ウェルベックとアントニオ・バレンシアが前線のサポート役を任された人選が、マンチェスター・Uにおける日本人プレーメーカーの「敗因」を物語る。
 
 当時の香川について、英国人記者界の要人ヘンリー・ウィンター(テレグラフ紙)は、「ルーニーに遠慮しているように見える」と言っていた。
 
 ライバルに勝るとも劣らぬ攻撃センスを持っているのだから、出場機会を得たら相手が誰だろうと怒鳴り声を上げてでもボールを要求すべきだというのだ。
 
 気を遣う日本人気質が裏目に出たとも言えるが、プレミアのピッチで日本人の殻を破るには「強引さ」も必要なのだろう。
 
 李忠成と宮市亮に関しては、怪我という同情の余地がある。李は2年目の長期欠場による出遅れが、サウサンプトンのプレミア昇格に伴う戦力補強と重なった。
 
 宮市はアーセナルからレンタル移籍中だったウィガンで、4か月ぶりにカップ戦で戦列復帰しながら再び負傷し、長期の戦線離脱となった。
 
 だが、その前後にも身体が悲鳴を上げ続けていた宮市に対し、李は2部時代にレギュラーの座に近づける立場にあった。しかし、それをモノにできなかった。
 
 例えば、1点差で敗れた12年2月のFAカップの試合で、GKとの1対1という決定機でシュートは枠を外れた。移籍3試合目では酷なようだが、周りから半信半疑の目で見られがちなアジア人選手であればなおさら、貴重なチャンスを逃さない「勝負強さ」が求められる。
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