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ビギナー向けの「マドリディスモ論」――クラシコ完敗でマドリーが失った“2つのもの”【現地発コラム】

カテゴリ:メガクラブ

エル・パイス紙

2022年04月04日

黒のユニホームは呪われた代物に成り下がった

完敗した先のクラシコで、ホームのマドリーは黒のユニホームでプレーした。(C)Getty Images

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 バルサは監督主導でチームが語られるのに対し、マドリーのそれは選手である。「ディ・ステファノのマドリー」、「イェイェ・マドリー」、「キンタ・デル・ブイトレ」、「ガラクティコ」はその代表格だ。逆にクラシコでカルロ・アンチェロッティが証明したように、監督は責任を取らされるために存在する。

 さらにマドリーはビッグなものを好む。だから目指すところが明確で、稀にしか目標設定を間違えることがない。他のどのコンペティションよりもチャンピオンズ・リーグにこだわり、他のどの選手よりもキリアン・エムバペにこだわり、他のどの欧州のスタジアムよりも最高のサンティアゴ・ベルナベウにこだわるのもそのためだ。

 どんなクラブも、歴史の重み、社会的背景、さらには差別化するためのライバルの選択によって、時間が形作った独自の魂というものを持っている。そしてマドリーには、その偉大さの中に、力を与えてくれる脈々と受け継がれてきた財産がある。

 マドリーはクラシコで2つのものを失った。1つは試合に負けたこと、そしてもう1つはビジネスの可能性だ。マドリーの選手は黒のユニホームを着用してプレーしたのは周知の通り。しかし試合後、私の孫はこの新ユニホームに見向きもしなくなった。特別な重みを持った宿敵との一戦で惨敗を喫したことで、呪われた代物に成り下がったためだ。これは7歳という孫の年齢を抜きにして熟考に値する問題だ。
 
 今日、フットボールのクラブの力学において、マーケティングは、経済的な観点からソシオに匹敵するほどの影響力を持つに至っている。ではマーケティング部門は何を売っているのだろう? 

 私の考えでは、その対象はクラブの文化そのものであるべきで、であればマドリーにとって白のユニホームはエスクード(エンブレム)と同じくらい、いやそれよりもと言っていいほど重要な要素であるはずだ。実際、誰もがマドリーと白色を結びつけるし、どのチームからも恐れられる対象になっている。だからこそ疑問に思うのだ。どうしてこれほどまでに偉大なものをみすみす葬り去るような真似をしてしまうのかと……。

文●ホルヘ・バルダーノ
翻訳:下村正幸

【著者プロフィール】
ホルヘ・バルダーノ/1955年10月4日、アルゼンチンのロス・パレハス生まれ。現役時代はストライカーとして活躍し、73年にニューウェルズでプロデビューを飾ると、75年にアラベスへ移籍。79~84年までプレーしたサラゴサでの活躍が認められ、84年にはレアル・マドリーへ入団。87年に現役を引退するまでプレーし、ラ・リーガ制覇とUEFAカップ優勝を2度ずつ成し遂げた。75年にデビューを飾ったアルゼンチン代表では、2度のW杯(82年と86年)に出場し、86年のメキシコ大会では優勝に貢献。現役引退後は、テネリフェ、マドリー、バレンシアの監督を歴任。その後はマドリーのSDや副会長を務めた。現在は、『エル・パイス』紙でコラムを執筆しているほか、解説者としても人気を博している。

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙に掲載されたバルダーノ氏のコラムを翻訳配信しています。


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