マイア獲得――代理人側がリストアップしたのは4人。風間監督らがプレー映像を確認し、“レナトの代役”を選別。
後任のブラジル人について、川崎は稲川氏を通して人選を進めた。川崎側の条件は「前目でプレーし、レナトの代わりになる選手」(庄子GM)。
稲川氏から4選手のリストがクラブ側に提示されたという。風間監督も交えて一人ひとりのプレー映像を確認し、「我々のスタイルに合うか、合わないかを議論」したうえで、マイアの一本化に至った。
なお、稲川氏から提示された選手は、獲得したマイアに加え、最前線で点を取るストライカータイプや、マイアに似たタイプ、エウシーニョに似たタイプもいたという。
外国籍選手を選び抜く秘訣を稲川氏に訊くと、「(受け入れるクラブ側の)センスだと思います」と断言。「巧い、速いだけを見ていたら、移籍は上手くいかないこともある。チームのスタイルに合う、合わないがあるから」と話して、さらにこう続ける。
「関塚(隆)さんの時代と、風間監督が率いる今の川崎ではスタイルが違う。昔はもっと個の力が重視された感もありますが、今は3人、4人のグループでプレーできる選手という考え方。それを選ぶのはセンスで、庄子さんはそこに独特のセンスを持っている」
筆者もマイアに関するビデオを見たが、ドリブル関連の映像が多かった。8月2日に来日したマイアは、すでに川崎の練習に参加しており、そのプレーを見る限りは狭い局面で的確にパスをつなげる技術を持っているようだ。
マイアの印象について、大久保嘉人はミニゲームでの上手さと前置きしつつも、「良い感じだね」とコメント。中村憲剛も「そこにパスを出せたらいいな、と思ったところに出せる」と高く評価する。
マイア本人は「前の選手に上手くパスをつないでいきたい」と語り、自身のプレースタイルに関して「ストライカー的な感じではない。FWにボールを供給するようなイメージです」と説明する。川崎は狭い局面でのパスワークを要求されるだけに、デビュー戦でのプレーが注目される(早ければ12日のホーム山形戦で初出場)。
補強があった一方、今季加入したばかりの角田誠が清水へ期限付き移籍。本人は「出場機会を求めて」と理由を語る。最近は先発を外れてベンチを温めていたが、移籍を惜しむ声が中村などを中心に聞かれた。
経験豊富なベテランの移籍は、川崎にとって大きな損失となる。しかし、同じくベテランの井川祐輔を軸に、日本代表の谷口彰悟、代表候補の車屋紳太郎、武岡優斗、さらに實藤友紀、板倉滉なども保有しており、彼らの成長で乗り切りたいところだ。
取材・文●江藤高志(川崎フットボールアディクト編集長)